デイミアン・リラード

正しいプレーを選択し続け、強引に記録を狙うのは「正しいと思えなかった」

現地1月25日のトレイルブレイザーズvsジャズで、デイミアン・リラードが60得点を記録し、チームに勝利をもたらした。

立ち上がりのブレイザーズは動きが重かったが、リラードだけはエンジン全開。トランジションから一つフェイクを入れての3ポイントシュートを決めてチームに最初の得点をもたらすと、続いてはディフェンスリバウンドを拾ってそのままリムに一直線、ディフェンスの名手であるジョーダン・クラークソンを振り切るコースト・トゥ・コーストを決めて、自分の勢いを自分で上げていった。

第1クォーターで9得点、そこから勢いはどんどん加速し、第2クォーターは17得点、第3クォーターは24得点を稼ぎ出す。前半の最後に逆転し、第3クォーターで102-91と突き放して、第4クォーターは10点前後のリードを保ち134-124で勝利。リラードはフィールドゴール29本中21本成功と高確率でシュートを決めている。

「60得点を取る時はすべて特別だけど、今回はシンプルだったように思う」とリラードは言う。「ただやるべきプレーをやった。攻撃的に、アグレッシブにやるというメンタリティだったけど、燃え上がるような試合じゃなかった」

それでも、リラードの得点の多くがイージーシュートではなく、プライドを懸けてこの1本を止めようとするジャズのディフェンスを様々なスキルでこじ開けたもの。ジャズを率いるウィル・ハーディーは「ほぼずっとダブルチームに行ったが、パスをさばいたりドリブルで割られたりと止められなかった。とんでもない選手だよ」と脱帽している。

第4クォーター残り1分37秒、フリースローラインに立つリラードに、ポートランドのファンは「MVP!MVP!」の大合唱。リラードは2本とも決めて得点を60に乗せた。この時点で131-117と勝利は確実なものとなっていたが、チャウンシー・ビラップスはリラードに61得点のキャリアハイを更新させるために交代させなかった。

しかしリラードは次のポゼッションでジェレミー・グラントへのパスを選択。続くポゼッションでもアンファニー・サイモンズにボール運びを任せた。残り30秒でステップバックの3ポイントシュートを外した後、リラードは無理に攻めようとはしなかった。

「時間はたっぷり残っていたし、もっとガツガツ狙うこともできただろうけど、それが正しいとは思えなかった」とリラードは言い、そこではなく10本放ったフリースローのうち1本だけ外したものを「あれが悔やまれるよ」と続けた。

指揮官ビラップスはリラードにキャリアハイを更新させようとしたが、それをしなかったことに同意もしている。「このチームは時々、リラードが得点するのをただ眺めるだけになってリズムを崩す。それはリラードが偉大すぎるからでもあるんだがね」と話す。

リラードはアツくなることなく、相手が仕掛けるディフェンスに対して常に正しいプレーを選択した。その結果が60得点とともに記録した9アシストだ。個人が大量得点を奪う時はチームプレーが犠牲になることが多いが、今のリラードにそれは当てはまらない。