過去46回のウインターカップで、鹿児島県のチームがベスト4以上に駒を進めた例はない。れいめいは、8年ぶり13回目の出場。お世辞にも前評判が高いとは言い難い。それでも和田玄太監督はチームの実力に自信を持っている。九州各地を巡って練習試合を重ね、時には大学生の胸も借りてチームを鍛え上げてきた。サイズも経験もないチームだが、大会のダークホースとなる可能性を秘めている。
サイズがないチームはどこからでも得点を狙えるように
──和田監督のキャリアを教えていただけますか。
れいめい高校を卒業して、福岡大学、福岡大学の大学院を出ました。正直、鹿児島県のバスケットボールはレベルが高くありません。大学に行って多くの人とかかわって、いろんな気づきを得ました。福岡大学の助教を1年間やって、れいめいに来てこれで7年目です。
──和田監督はまだ32歳、選手と年齢が近いことが強みになっていますか?
そうですね。もう少し前は一緒に1on1をやって教えたりしたんですが、最近はそこまで動いていないです。ただ、身体の使い方などはいろいろと実践しながら教えています。
──インターハイはいかがでしたか?
国学院久我山に初戦で負けたんですけど、向こうがポイントガード以外は全員190cmを越えてて。その時のウチは168cmが3人と184cmが2人(笑)。やってきたディフェンスの取り組みが非常に良くて、後半に最大12点か13点のリードがあったんですよ。結局、最後の最後で逆転されて4点差で負けました。
──れいめい高校の強みは?
サイズがない分、ショットまで簡単に持って行かれてしまうと、リバウンドの優位性が持てないので。その前の状況を厳しくハードにディフェンスをするというところをメインにしています。攻撃はモーションオフェンス。ウチみたいな鹿児島のサイズがないチームは、一人に偏ってしまうと攻め手がなくなりますので、どこからでも得点を狙えるようにしています。
──注目選手を挙げていただけますか?
今はだいぶ選手層が厚くなってきたので、結構プレータイムも分けながらの戦い方ができるようになってきました。それでも上のレベルと試合をすると、3年生の鎌迫練と福﨑將裕という2人が中心になります。
もともと2人ともインサイドの選手ですが、練習で外のプレーも覚えました。鎌迫は身体が強くてオールラウンドにプレーできる選手ですが、今は外のシュートも覚えて強みになっています。福﨑は中学校までは完全なセンタープレーヤーだったのですが、スピードとハンドリングが良くなっています。この2人は大学生とやってもしっかり戦えるような選手です。
私は福岡のレベルを見て、鹿児島を変えたいと思っている
──大学生と試合をしているんですか?
鹿屋体育大学があるので。ただ、基本的には県外でやることが多いです。九州圏内の大学の先生たちは私が大学でコーチをしていた時に一緒に戦ってた人たちなので、そういうところにお願いしたり。
──そうは言っても九州は広いので大変ですね。
私は福岡のレベルを見て、鹿児島を変えたいと思っているので。だからどんどん県外に出て練習試合をして、吸収したいと思っています。九州のトップレベルのチームともいいゲームができるようになっています。
──鹿児島県のレベルを底上げするために、何が一番必要ですか?
やっぱりサイズですね。留学生は難しいので、190cmから195cmの選手。県内には全くいないですね。小さいチームで戦う醍醐味もありますが、勝負事なので難しいです。
──監督も選手も初めてのウインターカップとなりますが、心境はいかがでしょう。
楽しみですね。インターハイもチームとしては12年ぶりで、大きなチームと試合ができて、あと一歩のところまで行ったので悔しさと充実感の両方がありました。ウインターカップでは全国大会の初戦で負けてしまったことのリベンジをしたいです。
経験があまりないチームなので、とにかく1試合目で自分たちのバスケットをすること。1回戦が県立松山工業、ここに勝つと2回戦は北陸学院と当たって、簡単にはいかない相手です。勝ち負けは後からついてくるものなので、とにかく全国の力を持ったチームに対して、自分たちがやってきたことを出し切れるか、というところです。
チームとしての目標はベスト8です。選手たちはその目標に対して責任感を持って練習に取り組んでくれています。インターハイでも変な緊張感はなく、子供たちものびのびと、自分たちがやってきたバスケットを最大限にやってくれました。
──その他、ウィンターカップで見てほしいところはありますか?
ウチは沖縄の選手も多くて、エントリーの4人くらい沖縄の選手です。それも私の中のポイントで、沖縄や福岡の子。レベルの高い選手と鹿児島の子たちが一緒に取り組むことでお互いをレベルアップさせたい。ガード陣は沖縄の子たちが入っているんですけど、そういった部分のトランジションですね。泥臭さとか、小さいチームで鹿児島のチームだからこそできる粘りを表現したいと思っています。