桶谷ヘッドコーチ「シュートタッチが良くなって非常に頼もしい存在になっている」
琉球ゴールデンキングスは1月21日、22日とアウェーに乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦した。初戦は岸本隆一が第4クォーター終了間際に同点3ポイントシュートを沈め、オーバータイムの激闘を93−82で制したが、22日は川崎にここ一番で3ポイントシュートを決められてしまい、72-76で競り負けた。
現在、琉球は23勝9敗で西地区4位。上位を走る島根スサノオマジック、広島ドラゴンフライズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのゲーム差はわずかとはいえ、昨シーズンのファイナル進出を上回る『リーグ制覇』という目標に向けて厳しい状況が続いている。
だが、18日のファイティングイーグルス名古屋戦を含めたこの3戦で、シーズン序盤に大きな課題だったセカンドユニットの活躍が目立ってきているのは、チームにとって明るい材料だ。
22日の試合は、前日のオーバータイムで足をつった岸本のプレータイムを制限した影響でベンチメンバーの出番が増えたが、ハンドラーとして起用された田代直希や牧隼利が、積極的なドライブや効果的なパスさばきでボールムーブを活性化させた。松脇圭志も持ち前のクイックリリースから積極的に3ポイントシュートを放ち、7本中4本を沈めてシーズンハイの17得点をマーク。チームはあと一歩で敗れたが、劣勢の時間帯に松脇がシュートを沈めたことで接戦に持ち込めた。
厚みのある体格を生かした、自分よりサイズのある外国籍ウイングにも当たり負けしないディフェンスと、非凡な3ポイントシュート。『3&D』の即戦力として今シーズン琉球に加入した松脇は、開幕当初からローテーションの一員として安定した出場機会を得ている。しかし、シュートは水物であることを加味してもオフェンスの積極性にムラがあり、好不調の波が少なくなかった。
そんな中、今回の川崎との連戦で松脇は躍動した。21日も3ポイントシュートを6本中3本成功させ、22日も同様の見事なパフォーマンスを発揮。桶谷大ヘッドコーチも「シュートタッチが良くなって非常に頼もしい存在になっていると思います」と、最近の松脇のプレーぶりを高く評価している。
故障から復帰した牧のプレータイム増加で突き詰めた、自分のやるべきこと
松脇本人は、この2試合で長距離砲が好調だった理由をこう考えている。
「川崎さんはゾーンが多いチームで、コーナーが空くと話していました。そして、コーナーからのシュートタッチが良かったのでそこを狙っていこうと昨日から思っていました。昨日は3本決まって、今日はもっと打っていこうと思っている中、普段なら打たないタイミングでも打てたのでそこは自分にとってもプラスだと思います」
この『普段なら打たないタイミングで打てた』という積極性が生まれた要因は、「チームのリズムを考えて打たない時もありましたが、パスをしてくれている人たちが『打てよ』と言ってくれるので気楽に打つことができたと思います」と語る周囲の信頼と、もう一つある。
「復帰した牧がプレータイムを増やしていて、僕自身のプレータイムが減ってきました。そこで自分がやるべきことは何かと考えた時、今日みたいに3ポイントシュートを打つことが大事だと。自分の役割を理解し、今まで以上に『パスが来たら打つ』という気持ちを持ってやり始めたことでシュートタッチが良くなったと思います」
故障により昨シーズンの後半戦から欠場した牧は、11月中旬に復帰。当初は1試合10分以下のプレータイムが続いていたが、コンディションが徐々に上がってくると、指揮官が高く評価する、アドバンテージがある場所を的確に把握する判断力、そしてゲームメークの高さを武器に出場機会を増やし、年明けからは平均20分以上のプレータイムを得ている。
チームメートの台頭に危機感を感じた選手が、やるべきプレーを突き詰めて進化しているのは、理想的な競争原理が働いている証拠。さらに、松脇がこのように積極的にチャレンジできているのは、首脳陣が継続的にプレーの機会を与えている点も大きい。桶谷ヘッドコーチは語る。「松脇を育てていきたいと思っています。ポテンシャルのある選手をしっかり育てながらゲームに勝っていかないといけない。経験と環境が人を成長させると信じているので、これからもチャンスを与えていきたいです」
西地区5連覇中の琉球だが、今シーズンはこれまでにない過酷な競争を強いられている。シーズン後半戦に入り、ここからは1つの勝ち負けが持つ意味合いがより強くなる状況となるが、松脇に気負いはない。「僕は昨シーズンに準優勝を経験していないので、そこまでプレッシャーはないです。西地区がすごく強くなってきて、今までやってきたところで通用しない部分があるので、そこは勉強になりますし、最近やっていて楽しいと感じています」
このまま松脇が積極性を維持し、シューターとして相手に脅威を与え続けていければ、セカンドユニットのオフェンスの幅も広がり、チーム力の大きな底上げとなる。ここから琉球が順位を上げていくには、外国籍選手へのディフェンスも含めた攻守における松脇の貢献がより大きくなってくる。
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