クリス・ポール

好調のグリズリーズの猛反撃に追い詰められるも、辛うじて逃げ切る 

現地1月22日、サンズはグリズリーズをホームに迎えた。キャメロン・ジョンソンが2カ月半ぶりの戦線復帰から2試合目となったが、エースのデビン・ブッカーは鼠径部のケガが長引き復帰の目途が立たず、キャメロン・ペインにランドリー・シャメットもケガ、ディアンドレ・エイトンは体調不良で欠場。さらには前日のペイサーズ戦に続くバック・トゥ・バックと不利な条件が重なっていた。

しかしその危機感が起爆剤となり、試合開始からグリズリーズを攻守に圧倒する。エイトンに代わり先発起用されたビスマック・ビオンボがゴール下で激しく戦ってディフェンスにリズムを作り出し、クリス・ポールが第1クォーターだけで3ポイントシュート3本成功を含む15得点を記録して、最初の12分間を32-18と圧倒。第2クォーターになるとクリス・ポールは個人での攻めからバランスアタックへとシフトし、自分の得点は2だが4アシストを記録。9選手が得点するバランスの良い攻めで第2クォーターも圧倒し、62-37と大差を付けて試合を折り返した。

しかし、先のレイカーズ戦を落とすまで11連勝していたグリズリーズは後半に猛追を見せる。スピードに乗ったアタックを繰り返してビオンボを、続いてジョック・ランデールにダリオ・シャリッチとインサイドの選手を次々とファウルトラブルに追い込み、勢いを増してサンズを飲み込もうとした。

点差は最大29点あったが、第4クォーター残り6分で1桁にまで詰め寄ると、残り時間が短くなるにつれてギアをさらに上げていく。猛追を主導したのはエースのジャ・モラントで、3ポイントシュートを決めたかと思えばファストブレイクからザイール・ウィリアムズに繋ぐアリウープのアシスト、ファウルを避けたいビオンボをあえて狙ってフリースローを得るなど、時間がない中で素早く攻めながらも着実に得点を稼いでいく。

残り2分21秒でビオンボがファウルアウト。残り1分ではリバウンド争いでボールがラインを割り、サンズボールの判定に対してグリズリーズ指揮官のテイラー・ジェンキンスがチャレンジを要求。これが通ってグリズリーズがポゼッションを得て、デズモンド・ベインがジョンソンからファウルを誘い、またもフリースローで点差を詰める。常にサンズがリードを保ってはいたが、勢いは完全にグリズリーズにあった。

残り28秒、モラントが2本のフリースローを決めて、点差はついに108-110と2点差に。それでもサンズはノックアウト寸前で踏み留まり、シャリッチのフリースロー2本で突き放し、112-110で辛うじて逃げ切った。重苦しい雰囲気が続いたが、試合終了のブザーとともにフェニックスの観客は立ち上がって選手たちの踏ん張りを称えた。

本来であれば余裕を持って勝ちきるべき試合展開だろうが、サンズの面々の受け止め方は違う。ヘッドコーチのモンティ・ウィリアムズは「我々の目標は勝つこと。20点や30点のリードを保って勝てるならそうしたいが、そう簡単にはいかない。最後まで踏ん張ってくれた選手たちを誇りに思う」と語る。

サンズはこれでようやく24勝24敗と勝率を5割に戻した。今シーズンの彼らは1勝を挙げるのがどれだけ大変かを痛感している。

22得点6リバウンド11アシスト3スティールとチームを引っ張ったクリス・ポールは試合後の会見でこう語っている。「ウチはこの何年かずっと、試合のラスト5分、4分から強さを発揮してきた。そういう状況に置かれて結果を出すことで自信を付けていくんだ。追い上げられている時はウチはバラバラで、グリズリーズの方が良いバスケをしていたけど、みんなで一緒に戦うことで持ち直した」

サンズはこれで3連勝、ようやく勝率を5割に戻した。まだまだケガ人は多く、まだしばらくは苦しい戦いが予想されるが、それでも今の状況で接戦を制することで、見失っていた自信を取り戻すことができた。