デニス・シュルーダー

最大13点差からのカムバック「これは全員で戦い続けた結果だ」

アンソニー・デイビスが出場しているかどうかにかかわらず、レイカーズが苦戦を強いられるのはファンにとって想定内だ。しかし、過去9試合のうち7試合はラスト1分以降に1ポゼッション差となっており、これだけハラハラさせられるのは想定外だろう。ただでさえ成績が低迷している中で接戦を落とすのはつらい。それだけにグリズリーズ戦での土壇場からの逆転勝利は、言葉にならない興奮があったはずだ。

グリズリーズは11連勝中で、ジャ・モラントを中心にチーム全体が絶好調。レイカーズは第3クォーターに最大13点のビハインドを背負ってもあきらめずに押し返したが、そこから点差は縮めても一度も追い付けないまま試合は最後の1分となり、ファウルゲームでもタイアス・ジョーンズがフリースローを落とさず、レイカーズにもうチャンスはないかと思われた。

しかし、残り13秒でビッグプレーが飛び出す。グリズリーズのリスタートから、ボールを保持したデズモンド・ベインにホワン・トスカーノ・アンダーソンがプレッシャーを掛け、ドライブで逃げ出す進路をラッセル・ウェストブルックが阻む。

ベインが判断に迷った一瞬の隙に、死角から忍び寄ったデニス・シュルーダー腕を伸ばしてスティールに成功。そのままフィニッシュに持ち込み、シュートを決めただけでなくバスケット・カウントももぎ取った。すべてが一瞬の出来事だったが、1点ビハインドから2点リードへと形勢逆転。残り1秒でフリースローを2本与えるも、ブランドン・クラークが2投目を決められず、レイカーズが122-121で勝利した。

レブロン・ジェームズが23得点9リバウンド6アシストに2スティール2ブロック、シュルーダーは19得点8リバウンド8アシスト、ウェストブルックがベンチからの出場で29得点5リバウンド6アシストと、レイカーズは活躍すべき選手がバランス良く働くことで勝利をつかんだ。

「まずはトラップを仕掛けて、その後でファウルするのがコーチの指示だった。上手くいったのはツキもあったと思う。奪ったボールをプッシュしながら、どうするのかベストか必死で考えたよ」と、シュルーダーは勝負を決めたプレーを振り返る。

「これまで何度も接戦を演じてきたけど、最終的に勝ちきることができた試合は少なかったように思う。でも今日は最後の数分間、リバウンドからペースをつかんで、その勢いを維持することができた。これは全員で戦い続けた結果だと思う」

シュルーダーが言うリバウンドでも、レイカーズが勝っていたわけではない。ただ、前半はレイカーズの20に対しグリズリーズが32本を抑えていたリバウンドの差を、後半は27-31とほぼ互角まで押し返した。ウェストブルックは「あきらめずに戦い続けたことだ。リバウンドで負けないようになり、そこからトランジションに持ち込めたのが大きい」と勝因を語っている。

シュルーダーもウェストブルックも言うように、ピンチになればなるほどチーム一丸の結束力を強め、あきらめずに戦い続けたことが、リーグで最も好調なグリズリーズの連勝を止めることに繋がった。レイカーズにとって大きな自信になる1勝だったのは間違いない。