ステフィン・カリー

選手層を強化して『今』を勝つ補強、その候補には八村塁も?

ウォリアーズはステフィン・カリーの肩のケガが大事には至らず、1カ月弱で戦線復帰となり、危ないところから立ち直った。23勝23敗といまだ勝率5割で、西カンファレンスのトップを走るナゲッツには10ゲームの差を付けられているが、ここからそれなりの戦いをすればプレーオフには進出できるだろうし、ファーストラウンドをホームで開催する4位まで順位を上げることも現実的な目標となってきた。

それでも、昨シーズンのロスターがそのまま残り、カリーを始め30歳を過ぎたベテランのコアがまた1つ年齢を重ねたチームに上積み要素は少なく、プレーオフで勝てるチームかと言えば疑問が残る。

スターターの5人(カリーとクレイ・トンプソン、アンドリュー・ウィギンズ、ドレイモンド・グリーン、ケボン・ルーニー)は固定されており、ジョーダン・プールがシックスマンとして約30分、ドンテ・ディビンチェンゾとジョナサン・クミンガが20分前後のプレータイムを得る。

ローテーションとして固まっているのはこの8人。2ウェイ契約のアンソニー・ラムは、どこかのタイミングで本契約へと切り替わり、プレーオフに出場する資格を得るだろうが、ジェームズ・ワイズマンとジャマイカル・グリーンはケガもあって十分な働きができていない状況で、選手層の厚みは十分とは言えない。

昨シーズンにオットー・ポーターJr.やゲイリー・ペイトン2世が務めたのはロスターの7番手から9番手。ウォリアーズ連覇のためにはベテランのコアを過度に消耗させずにプレーオフまでたどり着くのが大事で、そこがトレードデッドラインまでの補強ポイントとなる。

スターターの5人とプールのコンディションには問題がなく、大きな補強は必要ない。さらに言えば、彼らが勝ちたいのは将来ではなく今だ。様々な制限の中で選手層に厚みを出す補強としては、バックアップセンターと複数の役割をこなせるウイングとなる。前者はスパーズのヤコブ・パートル(今が契約最終年)やジャズのケリー・オリニク(契約最終年の来シーズンは300万ドルのみの保証)、後者はサンダーのダリアス・ベイズリーやウィザーズの八村塁(いずれも2019年ドラフト組で、今夏に制限付きフリーエージェントとなる)が挙げられる。

2年前のトレードデッドラインを迎えた時点でのウォリアーズの成績は今と同じ5割で、この時は補強を見送った。フロントは「カリーが全盛期の間は優勝できるチームを作るのが責任」と語っていたが、そのカリーが得点王になったにもかかわらず、クレイ・トンプソンが全休のシーズンをあきらめ、結果として39勝33敗の9位でプレーイン・トーナメントに回り、そこでシーズンを終えている。

今回はディフェンディングチャンピオンであり、コアは全員が良好なコンディションにある。そうである以上、優勝をあきらめる必要はどこにもない。リーグトップのサラリーをすでに支払っているチームが大盤振る舞いの補強をするわけにはいかないが、その必要はない。ベテランの多いチームを支える新たなエネルギーを注入して、シーズン後半戦に向かれればいいのだ。