オールスターで感覚をつかみ、高確率でシュートを決めてシーズンハイ更新
1月18日、千葉ジェッツはホームで茨城ロボッツと対戦した。お互いにフィールドゴール成功率が45%を超えるオフェンシブな展開が続く中、インサイドアタックを繰り返して2ポイントシュートを38本中27本決めた千葉Jが100-91のハイスコアリングゲームを制した。
第3クォーターに一時逆転を許すも、すぐに取り返す得点力と要所で茨城のスコアラーを止めた守備が光った。千葉J指揮官のジョン・パトリックは次のように試合を振り返る。「アップ&ダウンの試合でした。ウチが32アシストと11ターンオーバーで戦えたのは良かったです。また、小さなラインナップを起用した時間に、原(修太)と(佐藤)卓磨が相手のベストな選手を止めて、ディフェンスで特に大事な仕事をしてくれました」
パトリックヘッドコーチが話すように、原と佐藤の2人がどの選手とマッチアップしても強度の高い守備力を発揮して、チームディフェンスのトーンセットしていた。特に、茨城のリーディングスコアラーのチェハーレス・タプスコットや40%を超える3ポイントシュート成功率を記録しているトーマス・ケネディのマークについた佐藤は、アウトサイドではシュートとドライブを徹底的にケアし、インサイドではフィジカル負けしないように身体を寄せて失点を防ぐ場面が多々見られた。佐藤はこのように振り返る。
「茨城さんはいつも簡単には勝たせてくれないチームでしたが、最後の最後までしっかり粘って勝つことができて良かったです。勝負どころの1対1を守りながら、ヘルプやスイッチに飛び出せるようにコミュニケーションを取ってスムーズに対応することができました」
途中出場からディフェンスの強度をさらに一段階上げた佐藤だが、この試合はオフェンスも好調で、フィールドゴール成功率66.7%でそのうち3ポイントシュートを2本沈めて13得点を記録し、シーズンハイを更新した。富樫勇樹やヴィック・ローなど得点の取れる選手が揃う千葉Jだが、調子の良し悪しや相手のディフェンスによってオフェンスが停滞する時間が出てしまった時、今回の佐藤のようにその時間を繋ぐ役割を担う選手の存在は大きい。「コーチから『ディフェンスよりもオフェンスが良かった』と言われました」と話す佐藤は次のように続けた。「今シーズンは2番から5番までやることがあって、すごく迷いながらプレーしてタイミングがつかめずにいました。ですが、練習や映像を振り返ったりして、チームメートからも『シュート打っていいよ』って声もかけてもらっていたので気持ち良く打つことができました。今のメンバーあっての自分です」
また、ここ4試合では少ないアテンプト数ながら高確率で決めている3ポイントシュートについては「オールスターの試合でたくさんシュートを打つ機会があって、気持ち良くバスケットができました。そこで『シュート入るな』っていう自信がついた感じです」と、4本の3ポイントシュートを決めたオールスターゲームがきっかけとなったと振り返った。
首位でシーズンを折り返してつかんだ自信「自分たちもやっていて負ける気がしない」
先にも出した通り、佐藤はディフェンダーとして千葉Jのディフェンス強度をさらに高める役割をこなしている。リーグでもトップクラスの守備について次のように話す。「スピードのある選手であればドライブを意識して少し離してディフェンスをしたり、高さのあるビッグマンであれば足ではついていけるので、フィジカルで守ることが多いです。特に間合いに注意して1番から5番までマークしています」
また、ディフェンスについては強靭なフィジカルを武器に今シーズンも多くのスコアラーを苦しめている原のアドバイスもあったと言う。「原さんはディフェンスが上手いので、今日も間合いのことだったり、フィジカルの使い方を共有したりしました。原さんに限った話ではありませんが、こうやってチームメートと高め合っていける環境になっています」
佐藤は2020-21シーズンに千葉Jへ加入してから昨シーズンまでは1試合を除き全試合で先発出場を果たしていたが、今シーズンは30試合中20試合と新ヘッドコーチの就任やチーム状況の変化などによってこれまでとは異なる役割を与えられている。その中でも、ベースとなるディフェンスを徹底しながら少ない時間の中でも身体を張ったディフェンスやトランジションにいち早く走ることができる佐藤の存在は、チームがリーグ首位でシーズンを折り返すことができた一因となっただろう。「シーズン中盤になってチャンピオンシップに向けて戦う中で、自分がステップアップすることがチームの力になると思うので迷わず臆せずプレーしていきたいなと思います」
千葉Jは、コンディション不良などで欠場者が続出する中でも今回の試合で12連勝を達成し、26勝4敗で30試合を終えた。佐藤はここから続くチャンピオンシップへの道のりについて次のように自信をのぞかせた。「今シーズンはヘッドコーチも変わってファンの方たちも不安だったと思いますが、スタートダッシュはすごく良くできて、自分たちもやっていて負ける気がしないです。上昇気流に乗っていると思うので、この勢いのままさらに集中して自分たちのチームバスケットを遂行し、一つひとつの勝利をもぎ取っていきたいと思います」