セス・カリー

「残った選手がよくまとまり、ゲームを締めてくれた」

ブルズに敗れて連勝が12でストップした後も、すぐにペリカンズに勝ったネッツは、続くヒート戦でラスト3秒でロイス・オニールが逆転シュートを決めて接戦を制し、リーグで最も好調なチームであり続けている。しかし、エースのケビン・デュラントのケガがチームに不安の影を落としている。

第3クォーター終盤、ジミー・バトラーのシュートをベン・シモンズがブロックに成功する。ここでバランスを崩したバトラーが転倒した先に、デュラントの足があった。デュラントは、その長い足がバトラーの身体に巻き込まれるような形で倒れ、右膝をひねった。立ち上がってプレーを続けたものの、痛みで思うように動けないようで、オフェンスではターンオーバーを喫し、ディフェンスでは揺さぶられた後にシュートチェックに行けず、タイラー・ヒーローの3ポイントシュートを許している。ここでデュラントはプレー続行が無理と判断してベンチへと下がった。

ヘッドコーチのジャック・ボーンは、デュラントが明日にMRI検査を受けることを明かし、「大したケガではないことを願いたい」とコメントした。 思い出されるのは1年前、デュラントが1月中旬から3月の頭まで膝のケガで欠場した時、ネッツは11連敗を含む5勝16敗と失速した。ジェームズ・ハーデンもこの時に移籍しており、チームの雰囲気が悪かったのもあるが、デュラントの欠場はチームに計り知れない影響を与える。

ヒート戦では79-82と3点ビハインドでスタートした第4クォーターに、カイリー・アービングがシュートタッチが悪い中で4アシストとオフェンスを引っ張り、ゴール下ではニコラス・クラクストンがフィールドゴール3本すべて成功の6得点、またセス・カリーがフィールドゴール4本すべて成功の9得点と、エースを欠いても奮闘が目立った。ゲームウィナーとなる得点も、カイリー・アービングの3ポイントシュートが外れたところに渡邊雄太が飛び込み、ボールを抑えられなかったがそのこぼれ球をオニールが押し込んだものだった。

残り3秒のヒートの攻めでは、ジミー・バトラーがファウルを引き出すことを狙いつつアタックを仕掛け、渡邊はかわされたが、カイリーとオニールが素早くカバーに入り、抜かれた渡邊もファウルを避けつつ背後からプレッシャーを掛けて、逆転のシュートを決めさせなかった。

デュラントをアクシデントで欠きながらの勝利に指揮官ボーンは「残った選手がよくまとまり、ゲームを締めてくれたのは良かった」と語り、特にベンチスタートながら接戦の終盤で勝負強さを見せた渡邊とカリーの働きを称えた。

セス・カリーはケガで出遅れ、ようやく調子を上げてきたところ。14得点のうち9得点はデュラントが離脱した後で、得点面でその穴を埋めてみせた。「まだ時間もあったし、勝つチャンスはあった。自分にとってもチャンスだと思った。このチームにはタレントが多い。自信を持ってプレーするのが大事なんだ。シュートを外しても、バスケの試合は48分間で決まるものだからね」とセスは振り返る。

デュラントの状態は心配だが、少なくとも自分で立ち、プレーを続ける意思を持つことはできたので、軽傷で済むかもしれない。それを別としても、今後ネッツが優勝を目指す上ではデュラントに頼りきりではなく、他の選手も持ち味を発揮して、勝敗に直結するプレーに絡んでいくのが理想だ。この試合ではデュラントがプレーを断念しても他の選手は勝利をあきらめず、終盤に接戦に強いとされるヒートに勝ちきった。絶好調のネッツであれば、このアクシデントもプラスに変えられるかもしれない。