伊東友莉香

「絶対に自分がやってやると強い気持ちで入ったんですけど」

東海大学付属福岡はウインターカップ3回戦で優勝候補の桜花学園を1点差で破る衝撃を与えた。しかし、初優勝を遂げた京都精華学園との準決勝では、序盤から大黒柱のファール・アミナタが激しいマークを受けたことで流れがつかめず、試合開始約7分間で0-17とブラックアウトを起こし、最後までこの差を埋められないまま47-70で敗れて3位で大会を終えた。

東海大福岡は198cmのアミナタを中心にしたチームだが、アミナタの加入前には日本人選手だけでウインターカップ初出場を決めていて地力もある。アミナタが3年生になりキャプテンを務め、文字通りの集大成となったが、全国制覇にはあと一歩及ばなかった。

アミナタとの連携プレーで得点を量産してきた1年生の伊東友莉香は自分の納得のいくパフォーマンスができずに自分を責め続けた。「自分がシュートを決め切れていれば勝てた試合だったかもしれないし、3年生の先輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいです」

チームが苦戦する中、伊東はアミナタに次ぐ15得点を挙げた。堅守を誇る京都精華を相手に、15得点の活躍は誇ってもいいはず。それでも、結果に直結するプレーができなかったこと、汚名挽回のチャンスを生かせなかったことに悔しさを滲ませた。「今日の試合までずっと調子が悪くて、チームに迷惑ばかりかけていました。みんなが悪い時こそ自分が得点を決めたり、力強いプレーで引っ張ろうと臨んで、今日は絶対に自分がやってやると強い気持ちで入ったんですけど、シュートの確率が悪くてチームに迷惑をかけてしまいました」

伊東友莉香

アミナタとの絆「『大丈夫、大丈夫』、その言葉に助けられていました」

伊東は全中で準優勝し、Jr.ウィンターカップでベスト8まで勝ち進んだ実績のある選手で、アミナタとのプレーを望んで東海大福岡に進学した。それだけにアミナタには特別な思いがある。大好きな先輩の言葉を思い返し、涙をこらえられなかった。「この1年間、アミナタさんとハイ&ローの合わせだったり、いろいろな合わせを練習してきたんですけど、このメインコートの舞台であまり発揮できませんでした。アミナタさんは笑顔で『大丈夫、大丈夫』っていつも言ってくれて。その言葉に助けられていました。その声掛けに頑張ろうとしたけど、京都精華さんのほうが上回っていて悔しいです」

尊敬する先輩は卒業し、これからは高さのアドバンテージがなくなる。今後もチームの中心を担う伊東は平面のバスケの強化が必要と言う。「アミナタさんがいなくなったら絶対的な高さがなくなる分、平面の強さを磨いていかないといけないと思います。この経験を生かして、自分やチームが何ができなかったか、その中でも成功したプレーを磨いて課題を少しでもなくして、もう一回この舞台に帰ってきたいです」

強い覚悟を見せた伊東だったが、最後に先輩への思いを問われると、再びあふれ出る感情を抑えることができなかった。「わがままで頼りない後輩でしたけど、いつも優しく声をかけてくれてありがとうございました。最後まで頼りなかったですけど、3年生と一緒に戦えたことをうれしく思います。ありがとうございました」

この自責の念は、必ずや自分を成長させる糧となるはず。これからのパフォーマンスもさることながら、アミナタのような大黒柱になっているであろう2年後の伊東の成長が楽しみでならない。