167cmながら大会6位となる平均9.8リバウンドでインサイドにプラスαをもたらす
昨年4点差でウインターカップの優勝に届かなかった京都精華学園は、再び決勝の舞台に帰ってきた。
札幌山の手との決勝戦では、第1クォーターに36得点、第2クォーターに29得点とこれまで堅守をベースにロースコアで勝ち上がってきた試合とは打って変わり、オフェンスの良さが目立った。ハイスコアリングゲームは札幌山の手が得意としている戦い方だが、相手の土俵に立ってもなお主導権を握り続け、インサイドを支配したイゾジェ・ウチェが35得点、3ポイントシュートを4本沈めて序盤のリードを作った柴田柑菜が22得点、昨年も先発として出場し、その悔しさを存分に晴らした八木悠香が同じく22得点と、3人で79得点を奪った。個々のオフェンススキルの高さを見せつけて99-81で快勝し、今夏のインターハイと合わせて2冠を達成した。
そして、最大の勝因となったのがリバウンドだ。最高身長が森岡ほのかの174cmの札幌山の手に対し、188cmのウチェや178cmの八木を擁する京都精華がリバウンドを量産し、チーム全体で57-15と圧倒した。また、セカンドチャンスポイントに繋がるオフェンスリバウンドは23本を獲得。特筆すべきはチームハイの10本を記録したのが167cmのポイントガード、堀内桜花だったことだ。
堀内は八木と同じく昨年も主力として先発出場し、4点差で敗れた決勝も最後までコートに立っていた。今年の決勝戦では9得点17リバウンド8アシストとポイントガードとしての役割も十分に果たし、悲願の優勝を味わった。「昨年も同じ舞台で試合をさせてもらって勝ち切れなかったので、今年は自分たちのバスケットをして勝ち切ろうと思いました。インターハイとウインターカップで2冠できことはすごくうれしいです」
そして、180cmに近い身長の選手がランキングを占める中、平均9.8本で大会6位となったリバウンドについては次のように話す。「この大会を通してリバウンドを意識していました。ウチェさんや八木さんがリバウンドを取ってくれる中、その2人が警戒されてボックスアウトをされたら自分がランニングリバウンドに飛び込んでいこうと意識していました。中学の時から山本(綱義)先生にずっとディフェンス、リバウンド、ルーズボールって言われてきたので、自分がミスをしてチャンスを与えてしまった時間もあったけど、リバウンドで取り返していこうと思いました」
昨年残り16秒でのターンオーバーを糧に今年の優勝、そして来年へ
先に書いた通り、昨年の決勝も先発で出場した堀内は、4点ビハインドで迎えたタイムアウト明け残り16秒のセットプレーで痛恨のターンオーバーを喫してしまい逆転のチャンスを逃した。「昨年は最後の勝負を決める時間に、誰で攻めるか決めていて、相手もそこを狙ってくるだろうなと分かっていた上でプレーを選択した結果、ボールを取られてしまいました。後悔しているけど自分で考えたことだからそこまでマイナスなことではないと考えていました。ここから今年の頑張りに繋がっています」
堀内は昨年の悔しさを乗り越え、今年はリバウンドという新たな役割を見つけてチームを牽引した。そして、来年はとうとう最終学年となり、来年の冬にはまた同じ舞台で中学から続く京都精華での集大成を見せることになる。
「ウチェさんや柴田さんのおかげで最後の試合も(チームで)得点が取れたと思います。プレーの部分はもちろんですが、2人以外の3年生からもベンチから声を出してチームを引っ張ってくれたので、自分も来年はそういったところで引っ張っていけるようになりたいです」
また、堀内は来年の役割について尋ねられると、「これまでリバウンドやアシストをやってきましたが、それぞれチームにもっと貢献できるプレーを考えてやってきたものなので、来年はまた違ってくると思います。来年のチームになって自分のやるべきことを考えていきたいです」と、笑顔で答えた。非凡な才能を持つ彼女はいつどんな状況でも自分の役割を見つけてチームを勝たせてくれるだろう。