横山智那美

残り3秒で逆転4点プレーを決められ接戦を落とす

ウインターカップ2022、大会4連覇を狙う『女王』桜花学園が大会3日目で姿を消した。

桜花は3回戦で東海大学付属福岡と対戦。ここまでの2試合では、ともに前半から主導権を握り、1回戦を51点差、2回戦も43点差での圧勝とその強さを見せてきた。

しかし、197cmの留学生プレーヤー、ファール・アミナタを擁する東海大福岡戦では、相手の高さに加えバックコート陣のハードな守備を前に苦戦し得点が伸び悩んだ。それでも、桜花も持ち前の堅いディフェンスで対抗して失点を防ぐことで、桜花が1点リードの24-23で前半を終えた。

後半に入っても文字通りの一進一退の攻防が続いた。東海大福岡の赤間静夏が連続3ポイントシュートを決めて一歩抜け出せば、桜花も田中こころがすぐに連続3ポイントシュートを決めて前に出る。また、桜花のキャプテンにしてエースの横山智那美がジャンプシュートを決めれば、東海大福岡も大黒柱のアミナタがゴール下を決め返すなど、第4クォーター残り1分を切って桜花が2点ビハインド(58-60)と手に汗握る時間が続いた。

それでも残り53秒には田中のドライブに合わせた2年生の福王伶奈がこの試合初得点となった3点プレーとなるバスケット・カウントを決め、61-60と桜花が前に出た。さらに残り9.9秒には横山がドライブからのダブルクラッチでファウルをもらい、フリースローを2本とも決め切って63-60とし、このまま桜花が逃げ切るかと思われたが、東海大福岡もあきらめていなかった。

この直後のディフェンスでスクリーンプレーから一瞬の隙を東海大福岡に与えてしまい3ポイントシュートを射抜かれて、残り3.3秒で同点に追いつれた。さらに、このシュートにチェックに行った横山のプレーがファウルとなり、4点プレーを許して63-64と逆転される。桜花のラストプレーは横山に託されたが最後に放ったシュートはリングに弾かれ、3回戦敗退となった。

横山智那美

「最後のブザーがなるまで先頭切ってやることを意識してやりました」

試合後、桜花の長門明日香コーチは、「ディフェンスは成功していましたけど、特に前半はオフェンスで点数が取れなかった。後半は少し修正できてゴールまでは向かえていましたが、留学生の高さを意識しすぎた部分があったと思います」と振り返った。そして涙ながらに、「選手は最後まで頑張ろうとしていましたが、インターハイに続いて3回戦が鬼門だったなと本当に思います」と続けた。

横山は「キャプテンの自分がチームを勝たせられなかったので、すごくみんなに申し訳ないです。井上(眞一)先生も入ってチーム一丸となって戦ったんですけど、自分が勝利に導けなくてすごく申し訳ない気持ちでいっぱいです」と3回戦敗退の責任を語った。

また、残り3秒で迎えたラストプレーは、長門コーチが「最後は絶対に横山の1対1で勝負しようと井上先生からの指示だった」と語ったように、横山に託されていた。その横山本人も「任されなくても絶対に自分が行くつもりでしたし、最後の勝ち負けを決めるのは自分だと思っていました。でも、自分の力のなさで負けました」と振り返った。

ラストプレーは決め切ることができなかったが、「自分はキャプテンだし、今の桜花を背負っているのは自分だと思ったので、最後のブザーがなるまで先頭切ってやることを意識してやりました」と、最後まで勝ちに行く姿勢を見せ続けた。

ここまでウインターカップでは優勝しか知らなかった横山が、最後の最後に負けを味わうこととなった。横山は「バスケットは過程も大事ですけど、結果がすべてだと思います」と言う。「今は負けた実感も全然湧かなくて、この3年間が終わるっていうのも本当に実感が湧きません。でも、やっぱり勝ち切ることができる選手になっていきたいです」

そして、今後の桜花を背負う後輩たちに、こうメッセージを送った。「後輩たちは最後の最後まで、自分たちに頼ることなく攻め続けてくれたので、来年は必ず日本一になってほしいと思います」