ここ一番でのクラッチシュートを決めきる勝負強さ
11月23日、栃木ブレックスが敵地に乗り込んで川崎ブレイブサンダースと激突。前半に2桁のリードを奪い優位に試合を進めるも、第4クォーター中盤には逆転を許す混戦となったが、最後は盛り返して86-79で競り勝った。
勝利の立役者となったのは3ポイントシュート7本中5本成功を含む21得点、さらには5アシスト2スティールの働きを見せた渡邉裕規だ。前半終了間際に11点リードで折り返すことになる3ポイントシュートを決めると、第4クォーターには1点リードの残り4分にスティールを奪うとそのまま速攻で持ち込みレイアップ。その後、約2分に渡って互いに無得点と我慢比べが続く中、残り2分に均衡を破る3ポイントシュートを沈め、さらに30秒後にはリードを9点に広げる駄目押しの3ポイントシュートを成功させた。ここ一番でのクラッチシュートを決めきる千両役者の本領発揮となる大暴れだった。
「出だしから激しくディフェンスできたこと」と、何よりも栃木らしいエナジー全開の守備を実行できたことを渡邉は勝因に挙げる。自身も最後にファウルアウトするなど、ファウルに苦しんだ面はあったが、それも激しくやり通したからこそと振り返る。
「相手のガード陣にプレッシャーをかけて簡単に中にパスを通させないところがキーになりました。もちろん(ニック)ファジーカス選手のところは、簡単にボールが入った時点でもう失敗のディフェンスになってしまう。入る前の段階で激しく行きました。その結果として、僕も含めてファウルが多い展開になりましたが、それだけアグレッシブにやっている証明です」
「先週、先々週の試合ではファウルもしないでやられてしまう展開が続くなどソフトなディフェンスをやってしまっていました。今日は苦しい展開に途中でなりましたけど、ああいうディフェンスを続けていきたいです」
「チームだけでなく、ファンの方も含めて全員で」
激闘に終止符を打ったビックショットは、チームで作り上げたチャンスから生まれたもの。「終盤のシュートは、気力、体力、気持ちの部分で打ち勝てました。リードを許した時、誰一人として気持ちを切らすことがありませんでした。良いところで僕が入れたところはありましたけど、そこまでの過程が良かったと思います」
また、最後の『ナベタイム』が発動したのは、「遠くから栃木のファンが来てくれて、本当だったらアウェーの展開になるところで、僕らを後押ししてくれたことが大きかった。そういうところはチームだけでなく、ファンの方も含めて全員で戦えたところが心強かったです」と、ブレックスファミリーの後押しがあったからこそと強調する。
ちなみに渡邊は川崎市出身で、出身中学は今回の会場であるとどろきアリーナ近くという生粋のご当地選手。もちろん知っている人はいるものの「小学校3年生からずっと、とどろきでプレーさせていただいている地元です。毎年言っていますけど、誰一人として僕が川崎出身であることを多分知らないです……」と地元凱旋に対する会場へのリアクションが薄いことに少々ご不満の様子。
ただ、それも栃木の看板選手というイメージが定着しているからこそ。田臥勇太の欠場を受けての先発ポイントガードとして、リーグ最高勝率をマークするチームの快進撃を支えている渡邉の存在感は強まるばかりだ。
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