渡嘉敷来夢

渡嘉敷、星の2人で計53得点、後半にわずか18失点と隙のない戦いで10連覇に王手

皇后杯9連覇中のENEOSサンフラワーズとWリーグ連覇中のトヨタ自動車アンテロープスが皇后杯準決勝で激突。渡嘉敷来夢が32得点17リバウンド3ブロックと圧巻のパフォーマンスを見せたENEOSが77-57で『女王対決』に圧勝した。

試合の立ち上がり、ENEOSはトヨタ自動車のゴール下の要であるシラ・ソハナ・ファトージャから開始2分半でファウルの2つを誘発。彼女がベンチへと下がったことで生まれたアドバンテージを利用し、渡嘉敷のインサイドアタックで主導権を握り、24-13と先手を取った。だが、第2クォーターに入るとファトージャも復帰し、守備の強度を取り戻したトヨタ自動車の反撃をくらう。第1クォーターとは真逆で宮下希保にサイズのミスマッチを突かれると、37-39と逆転を許して前半を終えた。

それでも、ENEOSは第3クォーター早々にファトージャから個人3つ目のファウルを誘発してベンチに追いやると、渡嘉敷が再び攻守に渡ってゴール下を制圧。さらに本日21得点の星杏璃がアウトサイドから確率良く沈めて相手に的を絞らせない。守ってはこのクォーターのトヨタ自動車の3ポイントシュート成功数を0本に封じ、相手がインサイドアタック偏重となる中でもリバウンドをしっかりと取り切って走る得意の展開に持ち込むことで19-8とビッグクォーターを作った。そして第4クォーターになってもENEOSの勢いは止まらず、余裕の試合運びで10連覇に王手をかけた。

渡嘉敷来夢

「1対1なら自分は絶対に勝てる自信があるのでバンバン行かせてもらいました」

勝利の立役者である渡嘉敷は、フィールドゴール21本中14本成功の高確率で30得点超え、文字通り試合を支配した。そして、自身のパフォーマンスをこう振り返った。「いつもだったらゴール下で2人、3人来るところを今回は1対1でした。1対1なら自分は絶対に勝てる自信があるのでバンバン行かせてもらいました。久しぶりにあれだけ中で1対1をやれたので最高に楽しかったです」

この試合では確率良くジャンプシュートも沈めていたが、マークについた選手のチェックが甘かった点について言及し、自身がインサイドだけの選手ではないことへの矜恃を語った。「皆さんが思っている以上にジャンプシュートとか3ポイントシュートを練習しているので、あれだけ離されたら……。ゴール下よりも練習しているので、その成果がちょっと出たのは良かったと思います」

渡嘉敷、星によるオフェンス面もさることながら、後半をわずか18失点に抑えるなど、40分間を通して集中力を切らさなかったディフェンスの踏ん張りも大きな勝因となった。チームリーダーとして、常に声を出し続け味方を鼓舞した渡嘉敷もそこには手応えを得ている。「自分は結構うるさいので、ちゃんと集中してやらないと自分が怒ることはあります。そういった意味で自分もブレることなく引っ張っていけたのが良かったと思います」

明日はいよいよ勝てば10連覇の偉業となる決勝だが、渡嘉敷は「今日はできすぎだったくらいです。明日、自分がこれだけシュートが入る訳でもないですし、星もこれだけ当たるかは分からないです」と気持ちを切り替えている。そして、どんな状況になってもENEOSのバスケットボールをやり続ければ自然と結果はついてくると大一番への意気込みを語る。「ディフェンスからブレイク、リバウンドを取り切ると、やるべきことは変わらないです。誰が出ても同じバスケット、絶対に勝てるバスケットをしたいと思います」

渡嘉敷が語るように、決勝では相手の徹底マークに遭い今日のような大暴れは見られないかもしれない。しかし、ENEOSの勝利には攻守の絶対的な要である渡嘉敷のハードワークが欠かせないことは間違いない。