残り3秒で放ったラストショットが外れ、あと一歩でアップセットを逃す
皇后杯の準々決勝に今年のインカレで6連覇を達成した東京医療保健大学が登場。去年のWリーグファイナル進出チームである富士通レッドウェーブと互角の戦いを繰り広げたが67-69と惜敗し、あと一歩でアップセットを逃した。
12月3日、4日に行われた2次ラウンドで新潟アルビレックスBBラビッツ、シャンソン化粧品シャンソンVマジックを撃破した東京医療は、試合の出だしからジョシュア・ンフォノボ・テミトペの活躍によりゴール下で主導権を握る。また、ディフェンスでは各選手の足が良く動き激しいボールプレッシャーをかけることで、富士通の3ポイントシュートの確率を落とすと、第2クォーター残り3分にはデミトペの14得点目でリードを12点にまで広げる。
しかし、後半に入ってデミトペへの徹底マークを敷く相手のディフェンスにうまくアジャストできず、富士通の反撃を食らう。結局、デミトペは後半無得点に終わり、外からの単発シュートが増えることでオフェンスは停滞し、第3クォーター終盤に逆転されてしまう。そして第4クォーター残り5分で7点ビハインドと劣勢が続くが、ここから長距離砲を沈めて盛り返す粘りを見せる。最後までもつれる中、2点を追う残り10秒にはデミトペがスティールを奪うと、このクォーターで8得点と波に乗っていた池松美波が残り3秒にゴール下にアタックし、決まれば同点となるシュートを狙うが外れて試合終了となった。
東京医療は日曜日にインカレ優勝と大きな目標を達成したばかりで、この試合に向けて心身ともに再びギアを上げるのは簡単ではなかった。その中でも優勝候補の富士通を相手に互角の戦いを繰り広げた姿は、この試合を見た者に強烈なインパクトを与えた。東京医療の先輩でこの試合14得点を挙げた富士通の藤本愛妃は「大学生ではなく普通に強いチームと見ていました。大学生に勝たないといけないという考えはなかったです」と母校について語ったが、それが過大評価でないことは明らかだった。
「この機会を楽しもう、チャンスがあったら自分で攻めようと思っていました」
特に池松は残り1分を切ってから2本連続でタフショットを決めるなど、13得点3アシスト3リバウンドと見事な活躍だった。「インカレからすぐで気持ちの切り替えは大変でしたけど、このチームでできる最後の大会なのでしっかり楽しんでやろうとみんなで話しました。勝ちたいと臨みましたが、最後は惜しいところで負けてしまってすごく悔しいですが、こういう経験ができてこれからのバスケットボール人生にすごく生きると思います」
こう試合を振り返った池松はリードを守り切れなかった理由を次のように考えている。「前半は自分たちのプレーができている手応えがあったので、このまま強くしっかりプレーしていければ勝てる自信はありました。後半は相手のプレッシャーが強くなったことにアジャストできず、オフェンスが行き詰まってしまいました。その分、ディフェンスも前半で厳しくできていたところが緩くなって、崩れて流れが悪くなりました」
そして、富士通をあと一歩まで追い詰め会場を沸かせた自身のプレーをこう語る。「プレッシャーはなくてあとはやるだけという気持ちでした。この機会を楽しもう、チャンスがあったら自分で攻めようと思っていました。そこでしっかり決めて、僅差まで行けたのは良かったと思います。悔しい気持ちでいっぱいですが、個人としてはすごく戦えたことに手応えもあります。できたところは評価してしっかり次に繋げていきたいです」
インカレからの皇后杯という濃密な1週間が終わり、「いろいろありましたが、良い経験ができた1年だと思います。この経験を次に繋げてしっかり成長していきたいです」と、池松は2022年シーズンを振り返った。
来年は池松にとって大学最後のシーズンとなるが、今の3年生は彼女に加えこの試合で13得点の林真帆、シャンソン戦で25得点の岡本美優、Wリーグのプレッシャーにも堅実なボール運びを見せた古木梨子とタレント豊富だ。インカレ7連覇、そして再び皇后杯でWリーグ勢を相手にどんな戦いを見せてくれるのか期待が高まる今年のラストゲームだった。
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