残り6秒に同点弾を決められるも、冷静に得点を重ねて今シーズン10勝目を手にする

12月10日、川崎ブレイブサンダースが秋田ノーザンハピネッツと敵地で対戦した。前半こそ秋田のアウトサイドシュート攻勢を受けて16点のビハインドを背負うも、ゲームハイの22得点を挙げた藤井祐眞が第3クォーターからギアを上げて逆転。ニック・ファジーカス、マイケル・ヤングジュニア、ジョーダン・ヒースらインサイド陣がそろって2桁得点をマークし、オーバータイムにもつれる激戦を92-85で制した。そして、川崎はこの勝利で今シーズン10勝目となった。

試合序盤から秋田が持ち味のディフェンスを発揮する。コートに立つ5人全員が高いプレッシャーと、簡単にボールを触らせないディナイを見せて川崎のオフェンスを苦しめると、そこから速攻に繋げて好スタートを切る。また、中山拓哉が川崎のリーディングスコアラーのファジーカスとのミスマッチに対して、身体を張ってイージーシシュートを許さない。オフェンスでは、古川孝敏が2本の3ポイントシュートを決めて川崎のゾーンディフェンスを無効化した。秋田のケビン・ブラスウェルアシスタントコーチも「流れの中ですごく良いシュートが打てていた」と評価したように、アウトサイドシュートを中心にテンポ良く得点を重ね、第2クォーター残り7分にはこの日最大となる16点のリードを奪った。

反撃したい川崎は、ゾーンの最前線を務める藤井が秋田のガード陣に対して高いプレッシャーをかけてスティールを成功させ、イージーショットに繋げる。また、アウトサイドでも高いシュート成功率を誇るヒースの3ポイントシュートとヤングジュニアのバスケット・カウントが決まるなど、攻守が連動し8点までビハインドを縮めて試合を折り返した。

第3クォーターに入ると、序盤こそ一進一退の攻防となるが、藤井が持ち味の得点力を発揮して1分間に7得点を積み上げた川崎のペースに。秋田ディフェンスに苦しみ、ここまで3得点に留まっていたファジーカスが3ポイントシュートを決めてタッチを取り戻すと、ヒースがこのクォーターだけで2ブロックを記録する好守を見せる。こうして、藤井とビッグマンの活躍から流れをつかんだ川崎は、途中出場した篠山竜青の3ポイントシュートも飛び出し、3点差で最終クォーターへ突入した。

第4クォーターが始まって早々に、相手のシュートをブロックしたヒースがそのまま相手陣内に走り込みバスケット・カウントを獲得。続く秋田のオフェンスでスティーブ・ザックが4つ目のファウルをコールされてベンチに退くと、ヤングジュニアが手薄のインサイドを攻め込み、獲得したフリースローを決めて、残り7分に川崎が第1クォーター以来のリードを手にした。

その後、追いかける秋田は4ファウルの中でもハードワークしていたザックが残り1分26秒に個人5個目のファウルをコールされ退場と苦しい状況に。インサイドで劣勢に立たされ得点が止まっていたが、3点ビハインドで迎えた残り6秒、スタントン・キッドがファジーカスのマークをかわして値千金の3ポイントシュートを決めて同点に追いつく。続く川崎のオフェンスを古川がテイクチャージでしのぎ切り、オーバータイムに持ち込んだ。

勢いは秋田にあり、キッドが再び3ポイントシュートを決めてリードしたが、川崎は慌てなかった。ザックがいないインサイドへヤングジュニアが攻め込んですぐさま逆転すると、コースを読んだ長谷川技がパスカットからイージースコアに繋げる。延長だけで5つのターンオーバーを誘発したようにディフェンスでも秋田を攻略し、川崎が15-8と突き放して激闘を制した

勝利した川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「出だしは、ゾーンディフェンスに対して立て続けにシュートを決められて苦しい展開となりましたが、後半から1ポゼッションずつ詰めることができ、最後に勝ち切れたのは大きかったと思います。明日もこういった展開になると思うので、強い気持ちを準備してもう1試合戦いたいと思います」と、手応えと次戦への意気込みを語った。

また、この試合では家族の事情でコートを離れていた秋田の前田顕蔵ヘッドコーチがブラスウェルアシスタントコーチのサポートとして復帰した。今シーズン初のベンチ入りを果たした指揮官は次のように感謝を告げている。「ここに来るまで、助けてくださったクラブ、選手、コーチ、リーグ、バスケットボール協会を含めたたくさんの方々へ感謝の気持ちを伝えたいと思います。(ホームは)あらためて最高の会場だと思いましたし、自分はバスケットが好きなんだなと実感しました。これから僕自身ができることを精一杯やっていきたいなと思います」