ザイオン・ウイリアムソン

昨シーズンのプレーオフの再現となるサンズとの連戦で真価が問われる

開幕から7週間が経過して、西カンファレンスのトップにはペリカンズが立っている。とはいえ、その立場は安泰ではない。現地9日と11日には、ホームで西の2位に付けるサンズとの連戦が待ち構えている。ゲーム差はわずか0.5。ここでの勝ち負けがシーズンの趨勢を決めるわけではないにせよ、ペリカンズがその勢いをさらに加速させるには絶好の機会だ。

「1カ月前に6勝6敗だった時には『今シーズンもこんなものか』と思う人もいただろうね。でも、このチームで今の成績に驚いている者は誰もいない。僕たちはいつも通りにプレーしているだけさ」

そう語るのはラリー・ナンスJr.だ。飄々としている彼だが、サンズとのホーム2連戦については「両チームともいつもの試合より気合いをいれてくるだろう。昨シーズンのプレーオフで当たったからなのか、1位と2位の対決なのかは分からないけどね」と言う。

ザイオン・ウイリアムソンと並ぶ主力であるブランドン・イングラムがつま先のケガで戦線離脱しているが、今のペリカンズは2人が引っ張るオフェンスではなく、むしろディフェンスで安定した成績を収めている。

これは『チームの顔』であるザイオンのディフェンス面での向上が表れたものだ。NBA入りしてからの2シーズン、彼のイメージは爆発的なオフェンスとケガの多さだったが、今シーズンはオフェンスの爆発力がやや落ちた一方で、コンスタントに出場して守備でも奮闘する姿が見られる。

デューク大時代のザイオンは、豪快なダンクに代表されるオフェンスの爆発力だけでなく、強烈なブロックショットも有名だった。巨体でも軽快なフットワークから、相手のタイミングにピタリと合わせて、高い打点のシュートでも完璧にブロックして、ファウルもしない。ここにきてザイオンは、オフェンスだけでなくディフェンスのパフォーマンスもNBAの舞台で発揮できるようになっている。

CJ・マッカラムは言う。「彼はディフェンス面で次のステップに進んでいて、それでチームも良くなっている。彼はパワーで試合を圧倒するけど、得点以外の場面でも適切なプレーを選択できるようになっている。偉大なプレーヤーがやるべきプレーをやっているんだ」

デビューから2シーズンのザイオンは常にコンディションに不安を抱えてプレーを制限し、限られた力をオフェンスに割り振っていた。それでも昨シーズンを全休してケガを治したことで、攻守にパフォーマンスを発揮できる状態を取り戻した。

その結果が16勝8敗というペリカンズの好調を生み出している。イングラムを欠きながらの5連勝は、残った選手には大きな自信となる。サンズとの連戦は、レギュラーシーズン前半戦ということもあって、シーズンそのものを占う大勝負ではないが、ここで結果を出せればペリカンズにはさらに大きな自信となるだろう。

昨シーズンのプレーオフ、ファーストラウンドで対戦した際は2勝4敗でペリカンズのシーズン終了となった。この時はもちろんザイオンがおらず、チームの状態としてもプレーイン・トーナメントでスパーズとクリッパーズを破るのが精一杯だった。だが、それから8カ月でチームは大きく変わっている。コンディションと自信を取り戻したザイオンは、大きな仕事をやってのけそうだ。