ラジョン・ロンド

写真=Getty Images

遠征にも帯同、強烈なリーダーシップを発揮

レイカーズの司令塔ラジョン・ロンドは、右手の骨折により、約4週間プレーできない。だが、コートでチームに貢献できなくとも、彼は言葉だけでリーダーシップを発揮できる稀有な存在だ。

チームの遠征にも帯同しているロンドは、11月18日に行なわれたヒート戦の最中、私服姿でチームメートたちに声を掛け続けた。それだけではなく、戦術ボードを持ってコーチだけの話し合いに加わる姿も見られた。指揮官のルーク・ウォルトンは『Spectrum Sportsnet』に、「彼はしゃべりすぎるので、このままコーチのハドルに加わっていたいのなら静かにしろと伝えた」と冗談を交えてコメントしたが、ロンドの影響力を高く評価している。

レブロン・ジェームズも、ロンドのリーダーとしての資質を認め、「ロンドは、生まれつきリーダーになる才能を持っている。何かを引っ張るために生まれてきたようなもの」と語る。

今年7月、レブロンに続いてロンドとの契約をレイカーズが発表した当時は、強烈なリーダーシップを持つ個性の強い2人が衝突することを危惧する意見が少なくなかった。だが2人はお互いをリスペクトし合い、若い選手に良い影響を与えている。特にロンドが目をかけているのは同じポイントガードのロンゾ・ボールだ。2年目のボールは、練習中に毎回のようにロンドから痛烈なトラッシュトークを浴びせられていることを明かしている。ロンドは、ロンゾにリバウンドを取りに行くこと、トランジションの際にボールをプッシュすること、自分より小柄なディフェンダーとマッチアップする時にポストアップすることを繰り返し伝えているという。

また『ESPN』によれば、ロンドは選手だけでの試合映像分析を今シーズン開幕から現在までに3回、いずれも唐突に開き、それを見事に仕切っているという。その模様について、ボールは『ESPN』に「ほぼすべて彼が仕切っている。練習前にやるんだけれど、レーザーポインターを持って、ガードからビッグマンまですべてのプレーを説明する。それが自分とにって何よりも役に立っている」と語った。

類稀なゲームメーク力、パスセンス、視野の広さを備えるロンドだが、マーベリックス、キングス、ブルズ時代にはコーチと衝突し、その度に問題児というレッテルを貼られてきた。しかし、昨シーズン所属したペリカンズでは、アルビン・ジェントリーの下で再び評価を高めた。そしてレイカーズでもウォルトンから信頼され、プレーと言葉で若い選手を引っ張る役割を与えられている。

復帰するまでの間、ロンドは戦術ボードを持ちベンチに座り、言葉と頭脳でチームの力になろうとする。コート上の指揮官休業中は、『コーチ・ロンド』として奮闘する彼の姿が目に浮かぶ。