「接戦を制することができて良い気分だよ」
オーバータイムへともつれたピストンズとマーベリックスの一戦は、第4クォーター終盤にビハインドを詰めて延長に持ち込んだマブスに分があるかと思われた。しかし、この勝負どころでピストンズはルカ・ドンチッチへのダブルチームを徹底し、延長に入ってドンチッチがシュートを打てたのは最初の1分での2本だけ。ドンチッチはアシスト狙いに切り替えるも、リズムが悪い中で他の選手が放つシュートはなかなか決まらない。
オフェンスが機能しないマブスは、その悪い流れがディフェンスにも波及してしまう。この試合で30得点を挙げたボーヤン・ボグダノビッチは警戒していたが、他のマークは甘く、そしてリバウンドに行く意欲でもピストンズに劣っていた。
残り1分半の時点で125-125の同点だったが、残り1分15秒と41秒にキリアン・ヘイズに3ポイントシュートを決められて勝負あり。ピストンズが131-125で勝利した。
ヘイズは今シーズンここまでフィールドゴール成功率34.6%、3ポイントシュート成功率30.6%で7.3得点と、オフェンスの能力は物足りない。だが、ケイド・カニングハムの戦線離脱から先発ポイントガードを託す彼について、ヘッドコーチのドウェイン・ケーシーは「プレーメーカーとして、そして相手のガードに対するディフェンダーとしては最高の選手で、みんな彼の助けを必要としている」と信頼を寄せている。
この試合の勝負を決めるラスト2本のシュートも、ヘイズは無理に打つのではなく、相手ディフェンスが他を警戒して、自分のリズムで打てると判断してシュートを打ち、そして決めている。
「1本目が入った時に、良い感触だと思ったんだ。相手はマッチアップを変更していたし、僕は良い感触で2本目も打つことができた。ボーヤンが素晴らしいプレーをしていた試合だし、接戦を制することができて良い気分だよ」とヘイズは言う。
「リードしていたのに追い付かれて延長になったのは反省しなきゃいけないけど、延長に入ってからの僕たちはプレーの強度を落とすことなくディフェンスを続け、シュートを打った。勝利に値するプレーだったと思う」
これでようやく6勝(18敗)と苦戦が続くピストンズだが、カニングハム不在でもボグダノビッチがエース役を務め、サディック・ベイ、ジェイデン・アイビー、アイザイア・スチュワート、マービン・バグリー三世と若い選手たちの成長が見られる。ただ、彼らにとって最良の経験は、このマブス戦のように接戦を勝ち切ることだ。
指揮官ケーシーは「ウチが接戦を勝ち切るために必要なのは、若い選手が『勝てる』と信じて戦うことだ」と語り、これからの試合でも強い意志を持ってプレーすることを求めている。