インサイドアタックで上回った琉球が主導権を握る
11月18日、琉球ゴールデンキングスが本拠地でアルバルク東京と対戦。王者のお株を奪う強度の高いディフェンスに加え、インサイドでの厚みのあるオフェンスが機能して71-56で勝利した。これで前日に敗れた借りを返した琉球は、ホームでの連敗を3で止めている。
第1クォーター、琉球は田代直希と古川孝敏が揃って積極的にアタックを続け、このクォーターだけでともに6得点をマーク。一方のA東京も安藤誓哉、小島元基の司令塔コンビが攻撃の起点になりつつ、要所で外角シュートを沈めることで応戦し、20-20の同点で終える。
第2クォーター序盤、琉球はオフェンスリバンドからのセカンドチャンスで岸本隆一がフリーになり3ポイントシュート。さらにジョシュ・スコットもオープンとなっての外角シュートを決め、相手ディフェンスの隙を的確に突いて引き離しにかかる。A東京も田中大貴のレイアップなど対抗していくが、インサイドアタックで上回った琉球が8点リードで試合を折り返す。
第3クォーターに入っても序盤は琉球のリズムが続く。スコットがこのクォーターだけで8得点と引き続きゴール下で主導権を握ることで、リードを2桁に広げていく。しかし、終盤に入るとA東京は田中の個人技、小島のスピードに乗ったドライブを起点にした攻めで盛り返し、琉球の6点リードで終える。
最終クォーターも僅差のまま試合が推移するが、ここで思わぬアクシデントが流れを変える。残り約8分、好調を維持していた小島がプレー途中にシューズが脱げてしまったことで予想外のタイミングでベンチに下がる。すると交代で出場した安藤が、アタックした田代に身体を寄せるも微妙なタイミングであったがシューティングファウル。これに異議を唱えたA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチがテクニカルファウルとなり、琉球は一連のプレーで得たフリースローを3本すべて決める。
「みんなの持ち味が出た」と指揮官が語る快勝
さらに琉球の流れは続き、残り約5分には田代が竹内譲次にシュートブロックされるも、その弾かれたボールを取って体勢を崩しながらショットクロックぎりぎりで放ったシュートが決まるなど運も味方にして引き離す。これで完全に勢いに乗った琉球に対し、竹内、田中、馬場雄大の代表トリオで計12得点に留まったA東京に反撃の力はなし。琉球が我慢比べをやり返してのリベンジ達成となった。
勝敗を分けたポイントは、パヴィチェヴィッチヘッドコーチが「オフェンスリバウンド、フィジカル面で劣り、勝負ところで決められた」という発言が端的に示している。実際、ペイント内での得点で34-20、セカンドチャンスポイントで18-7と琉球が優位に立ち、この差がそのまま結果になって現れた格好だ。
琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、54点に終わった前日と比べ攻撃が昨日した理由を「昨日一つ使いすぎているプレーがあって、それを今日は使いませんでした。そのプレーが悪かったというより、結果としてそれを使うことでパスを外で回しすぎてしまいました。今日は並里(成)、岸本(隆一)と中に切っていける選手を起点にすることをより強調しました。この2人をどう生き生きプレーさせるのか、そのための修正をしました」と振り返る。
また、司令塔の2人に加え、「みんなの持ち味が出たと思います」と語る中でも「なによりアイラが自分の役割を果たし、チームプレーに徹してくれました。出だしからディフェンスとリバウンド、ゴール下付近で得点を決めてくれてよかったです」と、アイラ・ブラウンの身体を張ったハードワークが大きな助けになったと言及している。
A東京は代表トリオのコンディション管理に課題
これでリーグ王者のA東京相手に直接対決を3勝1敗で勝ち越しとなった琉球であるが、佐々はそれよりも11月7日にリーグ下位の福岡に敗れてから続いていた悪い流れに歯止めをかけられたことに安堵した様子。「福岡戦から自分たちの試合ができず、練習でもモヤモヤしたものが続いていました。ここで負けるとホームで4連敗となる中、選手たちが負けられない気持ちを出してプレーしてくれたことが結果に繋がりました」
「チームとして自信がなくなってしまうんじゃないかというところでこの試合ができた。昨日、あれだけの我慢比べとなる試合を負けて心が折れそうになってしまったところで、一つの結果を残せました。福岡戦から続いていた重い雰囲気に、少し光が見えてきたと思います」
ただ、A東京に敵地で連勝した直後にホームで福岡に敗れた苦い思いがあるだけに、佐々は「この1勝は、来週の横浜戦で勝つことで課題を克服できて価値が出てくる。まだ喜ぶことはできない」と気を引き締めている。
一方、連勝を逃したA東京は、予想していたこととはいえ代表トリオのコンディション維持の難しさを実感することに。ただ、ミルコ・ビエリツァが故障から復帰すると、タレントが揃う琉球の司令塔を相手に安藤、小島の2人で計19得点6アシストを記録するなど奮闘。「橋本(竜馬)、並里、岸本と琉球はリーグベストのポイントガード陣です。ただ、小島、安藤は発展途上ですが、チャンピオンシップをもたらしてくれたポイントガードです。私は彼らを信頼しています」とパヴィチェヴィッチも評価するパフォーマンスを披露。代表トリオなしで戦うことになるであろう月末の天皇杯に向けて明るい材料となっている。