ラプターズ戦では父の前で劇的な決勝シュートを決める
ホークスのルーキー、AJ・グリフィンはこの1カ月で何度か与えられたチャンスに結果を出し、周囲の信頼を勝ち取っている。1巡目16位指名を受けてホークスに加わった彼は、プレシーズンこそ多くの出番をもらったものの、レギュラーシーズンはローテーション外からのスタート。それでも11月7日、エースのトレイ・ヤングが欠場したバックス戦で、ベンチからの出場で24得点を記録したのを機に、少しずつ信頼を積み重ねている。
グリフィンの良さは攻守にアグレッシブなこと。行けると判断すればリングに一直線、ディフェンスも洗練されているとは言い難いが、足を使って相手に絡み付くしつこさがある。
ホークスを率いるネイト・マクミランは「いろいろ課題はあるが、自信を持ってアグレッシブにプレーできているのがAJの良さだ。ミスをしても、アグレッシブに行った結果のミスなら問題ではない」と、グリフィンのルーキーらしい思い切りの良さを買い、チームの勢いに繋げようとしている。
もっとも、チーム内には序列があり、誰かのプレータイムが増えれば別の誰かのプレータイムを削らなければならない。バックス戦ではヤングの不在を受けての出場だったが、その後のグリフィンはジャスティン・ホリデーからプレータイムを奪う形で出場機会を得ている。ここで結果を出せなければ、またローテーション外に逆戻り。それでも得点力不足というホークスのチーム事情もグリフィンを後押しした。積極的なプレーを貫くグリフィンは、NBAキャリア10年目のベテランであるホリデーとは違う個性を見せ、評価を高めている。
マクミランは「毎試合が調整だ」と言い、グリフィンだけを優遇するのではなくチームにとって適切なバランスを見いだすための試行錯誤の段階であることを強調するが、グリフィンはプレータイムを伸ばすだけでなく、試合終盤の大事な場面を任されるなど、試合を重ねるごとに存在感を強めている。
19日のラプターズ戦は、彼にとって2つの意味で忘れられない試合になった。オーバータイムの残り3.8秒、OG・アヌノビーのフリースローで122-122の同点に追い付かれたが、リスタートとともにグリフィンはリムへと走る。48分プラス5分の激闘で、主力にプレータイムが偏るラプターズはこれについていけなかった。トレイのタッチダウンパスを受けたグリフィンがレイアップを沈めて試合終了。劇的なゲームウィナーだった。
愕然とするラプターズのベンチで、アシスタントコーチのエイドリアン・グリフィンだけは興奮で叫びたい気持ちを押し殺していたのかもしれない。エイドリアンはAJの父親だ。コート上に親子関係は持ち込まなかったが、試合を終えたAJが引き上げる際、父は息子を抱き締めてその成功を祝っている。
自分を成功に導くアグレッシブな姿勢について、グリフィンはこう語っている。「アグレッシブにプレーすること自体が、僕にとっての挑戦なんだ。積極的に行くか、受け身になるかは自分次第。毎日、自分で選択するんだ。常に挑戦すること、そして自分自身の努力を自覚すること。これは父がいつも言っていた言葉だ」
そして21日のキャバリアーズ戦では、欠場したディアンドレ・ハンダーに代わってNBAで初めて先発で起用された。フィールドゴール11本中7本成功で17得点と効率の良いプレーは見せたが、ディフェンス面で課題の残る内容となり、チームも102-114で敗れたが、彼にとってはこれも経験となる。持ち味の積極性を持ち続ける限り、彼はすべての経験を成長に繋げてステップアップしていくはずだ。