馬場雄大

文・写真=鈴木栄一

「王者としての自覚を持ってやる必要がある」

11月17日、アルバルク東京はアウェーでの琉球ゴールデンキングス戦に57-54で競り勝った。この試合、馬場雄大は8得点3リバウンド2アシストと、数字で言えば突出した部分はなかったかもしれないが、劣勢で迎えた第2クォーターに豪快なダンクを2本叩き込んでチームに勢いを与え、第4クォーターには8分半の出場で勝負どころを任され、堅守の一翼を担って勝利に貢献した。

「流れが悪い時もありましたが、自分たちのスタンスで40分間戦えたことが勝利に繋がったと思います。琉球に2連敗して勝ちパターンが分からない状態で、自分たちも探り探りやっていく中で点数が入らない時間もありましたが、我慢してやれました」と振り返るとともに、ここで再びの敗戦はどうしても阻止したかったと強調する。

「連敗はさすがに意識しました。ここで3連敗したら琉球も乗ってしまいますし、昨年の王者としての自覚を持ってやる必要がある。それは勝つことで証明できるとチーム全体が入りから集中して、今日は絶対負けないという気持ちでした」

また、馬場にとっては昨シーズンの経験で慣れているとはいえ、今週は平日に代表活動をこなしてからの直前合流でのリーグ戦。沖縄への長距離移動もあり、さすがに「身体的な疲れはあります」というが「代表は代表、チームはチームと考えているので、気持ちは切り替えてやれています」と掛け持ちへの不安はない。

馬場雄大

「盛り上がるほうが個人的にもやっていて楽しい」

そしてこの試合、馬場はいつも以上に声を出し、味方を鼓舞する姿勢を見せていたが、それは本人も明確に意識していた部分だ。「そうですね。自分がテンションを上げてやると思っていました。盛り上がるほうが個人的にもやっていて楽しいし、気持ちが良いので。相手にとってはマイナスイメージに働くと思うので、まず雰囲気作りを気にしながらやりました」

「チームとしてあまり連敗することがなく、流れが相手に傾くと下を向いているように見えたので、そういった面でも盛り上げていこうとコートでは声を出すようにしました。そこがプラスに作用したかは分かりませんが、流れが悪くても踏ん張ることができました」

ちなみにこの気持ちの高ぶりは、試合が終わっても継続されていたのか、終了直後のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチとテンション高めの討論をしている姿が見られた。ただ、これも厚い信頼関係があるからこそ。「ルカは、コーチと選手で立場に差をつけないので意見を求めてきます。そこは1年やってきて分かっています。プレーヤーみたいなタイプのコーチで、自分にもバンとぶつかってくる。僕にも自分の意見があるので、ぶつかりはしますけど、しっかり意見交換してお互いにすり合わせという感じです」と健全な議論と考えている。

昨シーズンの新人王は2年目を迎えてさらにスケールの大きなプレーヤーへと成長している。まさに今が伸び盛りの馬場には、その勢いにブレーキをかけることなく突き進んでもらいたい。