しかし勝ったのはシクサーズ「タフに戦う姿勢が必要だった」
セブンティシクサーズと衝突してチームを去ったベン・シモンズが、初めてフィラデルフィアに戻ってプレーした。11得点7リバウンド11アシスト、さらには3スティール3ブロックを記録。試合開始からネッツのシュート3本を立て続けにアシストし、フリースロー2本を決めたところで、シモンズは笑顔を見せた。シクサーズのファンは彼がボールを持つたびに大ブーイングだったが、復調しつつあるシモンズは落ち着いていた。
それでも、試合はシクサーズが115-106で勝利。スタートこそ出遅れたが第1クォーターのうちに逆転し、その後もほとんどの時間帯でリードを保って、ラスト3分を残してシモンズを始めケビン・デュラントなどネッツの主力を下げさせている。
「望んでいた結果じゃなかったけど、良い一歩を踏み出すことができた。選手として正しい方向に進んでいくために必要な一歩で、良い経験になったと思う」と、シモンズは試合後に語った。
「シクサーズファンの敵意は問題ではなかったか?」との問いに「彼らはフロアにいないから、問題にはならない。声は届いていたけど、僕としてはただゲームに集中して、チームのために正しいプレーをしようとした」と答える。「これはただのバスケで、僕らは感情があって、試合を楽しもうとする人間の一人だよ」
シモンズは良いパフォーマンスを見せ、完全復活に向けて一つ大きな壁を乗り越えたことになる。シクサーズにとってもまた、この試合では大きな収穫があった。ジョエル・エンビードにジェームズ・ハーデン、タイリース・マクシーが欠場する中、チームを引っ張るトバイアス・ハリスが勝負どころで得点を重ねて24得点、シェイク・ミルトンとディアンソニー・メルトンは先発起用に応える好パフォーマンスを見せた。
シクサーズを率いるドック・リバースは「プレーの質の良し悪し以前に、我々にはまずタフに戦う姿勢が必要だった。選手たちは私の求めるパフォーマンスを見せてくれた」と、チームのメンタル面の向上を褒めた。
ハーデンが長期離脱中で、他にも多くの主力がコンディション調整に苦しんでいる。特にこの試合はファンが自分たちの応援よりシモンズに敵意を向ける状況だったが、試合に出た選手たちがタフに戦い、ファンの関心をシモンズではなく自分たちに向けさせている。
エンビードが、ハーデンが不在だから戦えないわけではない。今のメンバーでベストと言えるだけのパフォーマンスを出し、勝てたことで、シクサーズも一つ大きな課題を乗り越えたと言えそうだ。
一方でネッツは一歩後退。渡邊雄太が欠場し、ジョー・ハリスが7本中1本、セス・カリーが6本中2本と3ポイントシュートが決まらず、コートを広く使うこともできず、ケビン・デュラントは『天敵』のPJ・タッカーに20得点に抑えられた。カイリー・アービングは復帰2試合目で23得点を挙げたが、彼がボールを持ちすぎてボールムーブが停滞する悪癖は出つつある。こちらは今一度、攻守のバランスを見いだす必要がありそうだ。