初得点から一気に14得点を挙げた21歳の特別指定選手
横浜ビー・コルセアーズは昨日行われたライジングゼファーフクオカとの第1戦に71-78で敗れた。B1の壁に苦戦している昇格チームに敗れたことで、ヘッドコーチ会見でのトーマス・ウィスマンはネガティブな発言に終始した。だがその中で「唯一の明るい材料は中村(太地)がステップアップしてくれたこと」と話している。
指揮官が名前を挙げた中村は法政大学に所属する21歳の特別指定選手。ここまで4試合に出場し7分のプレータイムを得たが、プレーに絡むことができず、1本もシュートを打てていなかった。だが昨日の試合では、ガベージタイム(勝敗が決した後の時間)ではなく、第3クォーター終盤の6点ビハインドという大事な場面でコートに送り出されると、3ポイントシュート1本を含む5連続得点を挙げて1点差に詰め寄る大仕事をやってのけた。
「点数が入っていない状況が続いていたので、積極的にアタックしてアグレッシブに行こうと思っていました。最初のシュートが入ってディフェンスが出てきてくれたので、ドライブで楽にファールをもらえて良い循環になったと思います」と中村は冷静に試合を振り返る。その後、第4クォーターでもプレータイムを獲得した中村は、計11分の出場で14得点を挙げるパフォーマンスを披露した。
初得点を記録するどころか、いきなり2桁得点を挙げる活躍を見せた中村だが、「今日はシュートが入りましたけど、それぐらいはいつもできると自信を持ってやっている」とプレータイムさえ与えられれば活躍できる自信をすでに備えている。
それでも過去4試合に出場するも見せ場を作れずにいたこともあって、「今日やっと自分がコートにいるんだとアピールできた」と安堵の表情を浮かべた。
「ディフェンスありきのオフェンス」
対戦した福岡には、福岡大学附属大濠の先輩が3選手所属している。「山下(泰弘)さんと小林(大祐)さんと津山(尚大)さんがいて、そんなに気にしているわけではないんですけど、やっぱり気持ちが入っていたのかなと思います(笑)」と、先輩との対戦が中村の闘争心に火をつけた格好となった。
特に1学年先輩の津山とは関わりが深い。「津山さんはインターハイで優勝した時のエースで、僕はシックスマンで試合に出てたんですけど、練習からバチバチやってました。津山さんとBリーグのコートでやれたことは感慨深いものがあります」
中村個人としては及第点以上の出来だったが、その活躍は勝利に直結しなかった。失点数がリーグワーストと、ディフェンスが崩壊している横浜だが、中村も「ディフェンスありきのオフェンス」とディフェンスの重要性を実感している。
「トムヘッドコーチが求めているのはディフェンスです。今日はディフェンスから入れていないのですが、自分の中でもディフェンスができてからオフェンスのリズムが出て、オフェンスの活躍に繋がると思っています。まずディフェンスでチームに還元することによって、オフェンスも流れでやれると思うので、それを継続してやっていこうと思います」
「今日のプレーで皆さんにプレーと顔と名前とをちょっと覚えてもらえたと思う」と照れ臭そうに話す中村だが、この試合を見たファンはもう中村の名前とプレースタイルをはっきりと認識したに違いない。だが、それは対戦相手も同じ。福岡のボブ・ナッシュヘッドコーチは中村の活躍に舌を巻くと同時に「横浜にとっては良い貢献だっただろうが、明日は抑えないといけない」と警戒を強めている。
これからはスカウティングされ、フィジカルなディフェンスで潰しにかかってくるだろう。それでもその荒波に立ち向かい、安定したパフォーマンスを続けることができれば、「チームの顔になれるように今年は頑張りたい」という中村の願いも叶うかもしれない。若き海賊の今後に注目したい。
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