残り48秒、サイズとの1対1から決勝3ポイントシュートを決める
11月20日、横浜ビー・コルセアーズは本拠地でアルバルク東京と対戦。終盤までもつれる激闘となったが、ここ一番での3ポイントシュートやフリースローなどの決定力で上回った横浜BCが83-77で競り勝ち、前日に敗れたリベンジを果たした。
試合は出だしから共に高確率でシュートを沈め互角の立ち上がりとなる。しかし、横浜BCは「ベンチメンバーからの得点がどうしても必要なため」と、青木勇人ヘッドコーチが明かす戦術的な理由により、不動の先発から今シーズン初めてベンチスタートとなった森川正明が3ポイントシュート2本を含む8得点を第2クォーターに固め、セカンドユニットを牽引したことで前半を39-32で折り返した。
だが、後半に入ると、すぐにA東京も反撃を開始する。持ち味であるインサイドへの積極的なアタックで横浜BCを早々にファウルトラブルに追い込み、第3クォーターだけでフリースローから14得点を挙げて肉薄。横浜BCも負けじとアグレッシブに攻めることで第4クォーターは一進一退の攻防が続いていく。しかし、A東京がフリースローのミスなど拙攻を繰り返すのに対し、横浜BCは終盤になってもスピードで相手を翻弄する河村勇輝、キング開の若手コンビが躍動して残り1分半で5点をリードした。そして迎えた残り48秒、河村勇輝がダメ押しとなる3ポイントシュートを沈めて勝負アリ。残り4分から怒涛の12連続得点を挙げた横浜BCが熱戦を制した。
昨日の初戦、横浜は第3クォーターまでは互角だったものの、第4クォーターの出だしで崩れて70-82と敗れた。19得点10アシストのダブル・ダブルを達成した河村はこの前日の敗戦をしっかり修正できたことが大きかったと語る。
「東地区首位のアルバルク東京に勝てたことは素直にうれしいです。昨日はクォーター毎の始めの部分が課題で、特に第4クォーターの最初の5分で流れを相手に持っていかれた部分がありました。どんな点差であれ、クォーター毎の入りと締めをしっかりチーム全員が意識して臨むことができたのが一つの勝因だと思っています」
「チームとしてしっかり戦うことができれば強豪相手にも勝つチャンスがある」
そして、セバスチャン・サイズとの1対1から決めた、残り1分を切った場面での自身のビッグショットをこう振り返る。「あのシュートの前にも自分がピックをした時、サイズ選手がスイッチで自分のマークに出ていました。それで次に同じ場面になったら3ポイントシュートを打てる感覚がありました。打ち切って決め切ることができて良かったです」
サイズは両腕を伸ばしたウイングスパンは228cmと驚異的なリーチを持ち、さらに抜群の機動力を備えたトップディフェンダーだ。今夏にはスペイン代表としてユーロバスケット2022の金メダルも獲得している。そんなBリーグ屈指の外国籍選手を相手にしても、河村は「あの状況ではベストな選択肢を取ってプレーしないといけない。そして僕が3ポイントシュートを打つのがベストだと思っていました」と言い、1対1ならスピードのミスマッチで自分にアドバンテージがあると確固たる自信を持っていた。
「どんな相手に対しても果敢にプレーしていくのが大事になります。自信を持ってプレーすることが結果に繋がると思います」
河村はこのように力強く語り、強気な姿勢を貫くことで見事な活躍を続けている。ただ、そこに自己中心的な要素はなく、「横浜BCは河村のチームではないです」と言い切る。「ここまで勝ち試合では全員がステップアップしています。全員で戦って勝つチームです。みんなに感謝しながら勝利に貢献できるプレーを頑張っていきたいです」
こう語る河村だからこそ、ベンチスタートを素直に受け入れ14得点の活躍を見せた森川を称えた。「ベテランの選手がスタートからベンチ起用になっても何一つ文句を言わずに戦い、しっかり結果を残すのは見習うべき部分です。チームの底上げになっていて、ああいう姿はリスペクトします」
長らくリーグ下位に低迷してきた横浜BCだが、これで名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、A東京と上位チームを相手に1勝1敗で終えた。さらに10月末の天皇杯3次ラウンドでは河村が終了間際に決勝弾を沈め、連覇中だった川崎ブレイブサンダースを撃破するなど、これまでとは明らかに違う結果を残している。
河村も今のチーム力に大きな手応えを得ている。「天皇杯も含め名古屋Dさん、今日のA東京さんと、チームとしてしっかり戦うことができれば強豪相手にも勝つチャンスはあります。茨城(ロボッツ)さん相手に連敗したのは悔しいですし、課題として残っています。来週の新潟(アルビレックスBB)さんも手強い相手ですが、今日の勝利を生かし、連勝して良い流れに持っていきたいと思います」
この良い流れをさらに大きなものにしていくためにも、来週の新潟戦こそは今シーズン初となる同一カード連勝を達成したいところだろう。そのためには、チームの要である河村の活躍が必要となってくる。