文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

流れを引き寄せる一発も「特に考えず打ちました」

12月3日、千葉ジェッツがホームの船橋アリーナにサンロッカーズ渋谷を迎えた。前半こそ一進一退の攻防が続いたが、第3クォーターに抜け出した千葉がそのまま押し切り83-74で勝利。連勝を8に伸ばした。

勝利の立役者となったのは石井講祐だ。前回のホームゲーム、キャリアハイの26得点を挙げた秋田ノーザンハピネッツとの第2戦に続き、この試合ではチーム最多の20得点を記録。最大の武器である3ポイントシュートだけでなく、ゴール下に走り込みパスを呼び込んでの得点も重ねた。

インサイドでの合わせは「前半から相手がゾーンにしてきたので、裏を突いて中にうまく飛び込んで、チームメートがよく見てくれました」と振り返り、3ポイントシュートについては「チャンスがあれば狙おうといつも思っています」と語る。

第3クォーターで流れに乗り、均衡を崩した千葉だが、きっかけとなったのは第3クォーター半ばを過ぎたところで飛び出した石井の4点プレーだ。46-45とわずか1点リードの場面でやって来た速攻のチャンス、アールティー・グインのファウルを受けながら3ポイントシュートを沈め、オフィシャルタイムアウトを挟んでのワンスローも決めた。ここから千葉は攻守ががっちりと噛み合い、第3クォーターが終わった時には67-51と大量リードを奪っていた。

接戦を勝利へと塗り替えるビッグプレーだったが、石井自身は「特に何も考えず、そのまま打っただけです」と淡々としたもの。

それでも、オフェンス自体が向上している実感はある。「練習中からもみんなでボールをパスして、シェアしてやろうというのは意識しています。相手のディフェンスに合わせてどんどんノーマークの味方を見つけられたので、そこが特に後半は良かったです」

「あまり先を見すぎず、明日の試合に勝つことに集中」

石井の働きは得点だけではない。渋谷が攻勢に出て苦しんだ時間帯、身体を張ったディフェンスやリバウンドでチームに貢献した。「3ポイントが打てなくても、他にやることはたくさんあります。そこに集中していれば、ゲームは40分あるので、いつか流れが来ます。その時のために我慢します」と言う。

今日の試合も、終わってみれば完勝だが、第3クォーターに突き放すまでは一進一退の攻防が続いた。序盤にリードを奪った後に接戦に持ち込まれた、という展開を考えれば、千葉にとっては厳しい時間帯だった。「バスケは流れの取り合いです。40分間ずっと自分たちの流れというのはなかなかできない。相手の流れの時はディフェンスやリバウンドだったり。シュートは調子に左右されるので、そうではない部分をチームで頑張ろうと、タイムアウトだったりハドルを組んだ時にみんなで声をかけ合っています。そういう意識で我慢できたのが良かったと思います」

これで8連勝。通算成績は13勝7敗となり、東地区の『2強』と見られたアルバルク東京、栃木ブレックスに食らい付いている。明日も勝てば千葉のチーム記録である9連勝に並ぶが、それについて質問された石井は「意識したほうがいいんですかね」と苦笑した。チームとして、個人としての向上は意識しているが、連勝はあまり意識していないのが正直なところのようだ。

「あまり先を見すぎてもアレなので……」と石井は言う。「1試合ずつ戦って、それが結果的に長い連勝になればいいかなあと思います。あまり連勝を意識しすぎると、負けた後にそれで崩れたりしそうなので。あまり先を見すぎず、明日の試合に勝つことに集中したいです」

いずれ連勝が途切れる時も来るだろう。ただ、千葉の連勝は勢い任せのものではなく、着実に実力を積み上げた結果だと感じる。連勝よりも通算成績。この交流戦をうまく乗り切り、チームとしてさらなるステップアップを果たせば、千葉は東地区で『デカい何か』を成し遂げるかもしれない。