盛實海翔

文=丸山素行 写真=バスケット・カウント編集部

「会場を驚かせるプレーを狙っている」

関東大学リーグ最終日、専修大は14勝7敗で並ぶ青山学院大との直接対決を制し、3位でリーグ戦を終えた。アブ・フィリップとともに専修大を牽引した3年生の盛實海翔は「長いリーグ戦を終えて一つホッとしました」と落ち着いた様子で振り返った。

「前半はシュートがあまり入らなくててこずりました。でも打たなかったら終わりだと思ったので。自分の仕事はシュートを打ち続けることなので、どんどん打ち続けました」と本人が話したように、この日の調子は決して良くなかった。それでもチーム最長となる34分間のプレータイムを与えられ、2本の3ポイントシュートを含む13得点を挙げた。また「あまりシュートが入らないのに打ち続けてもチームの流れが悪くなるだけなので、そこは心掛けていました」とクレバーな一面も見せ、5リバウンドと4アシストと負けられない試合で勝利に貢献している。

盛實は343得点(リーグ6位)、3ポイントシュート成功数51本(3位)、67アシスト(リーグ5位)とトップクラスのオフェンス力を持つガードだが、スタッツ以上に『華のある』プレースタイルが最大の魅力だ。細かなドリブルで相手を揺さぶり、緩急をつけたクロスオーバードリブルで相手を抜き去る。ディフェンスがドライブを警戒すれば、ステップバックして3ポイントシュートを沈める。またアシスト能力にも優れており、巷では『和製ハーデン』と呼ばれる。言うまでもなく、ロケッツでプレーするNBAトッププレーヤー、ジェームズ・ハーデンのことだ。

「昔からパスで魅せるのが好きで『おおっ!』となる、会場を驚かせるプレーを狙っている部分はあります」と言うが、「狙いすぎるとターンオーバーに繋がるので、そこはミスがないように心掛けてやっています」と、ただの目立ちたがり屋とは一線を画す。

盛實海翔

新戦力の台頭で「自分の負担は減った」

リーグ戦を終えた直後だが、「トーナメントは負ければ終わりなので、もっと緊張感を持ってプレーをしなければいけない」と盛實はすでに約1カ月後のインカレを見据えている。

「専修大はディフェンスとリバウンドがキーです。強みではありますが、できなければ課題になります。リバウンドを取られたら負けるので、自分たちの強みを生かしてフィリップに頼らず、リバウンドやディフェンスをチームでできれば上が見えてくると思います」と、留学生頼みではないチームの総合力がカギになると盛實は言う。

フィリップは専修大にとって一つのアドバンテージとなるが、それだけで頂点に立てるほど、大学バスケは甘くない。チームの底上げは常に必要となるが、「西野(曜)や、一年の寺澤(大夢)、キング開がうまく合わせてくれる。彼らの良いところを引き出しながらプレーすることで、自分の負担は減ったと思います」と新戦力の台頭に手応えも得ている。

大学日本一を決める大会とあって、インカレの注目度は高い。チームの勝利が最優先であることは当然だが、観客としては度肝を抜くような豪快なプレーや、驚嘆の声を上げるような華麗なプレーを見たいという期待もある。盛實はそうした観客を湧かすことがことができる選手の一人で、ネット上の動画でも話題になっている。

「今はSNSで皆が広げてくれるのでそういうことはありがたい」と話す盛實は「皆さんが楽しめるプレーができればいいなと思っています」と目を輝かせた。バスケットボールがエンタテインメント性を含むスポーツだということを、インカレという最高の舞台で体現してもらいたい。