スパーズは主力を欠くバックスに快勝、連敗を5で止める
バックスは10勝1敗と開幕から絶好調で、対するスパーズは5勝7敗で5連敗中。ただしバックスはヤニス・アデトクンボとドリュー・ホリデーが欠場しており、第2クォーター途中にケルドン・ジョンソンの連続得点で点差が2桁へと開くと、もう追い付けなかった。結局、第2クォーター開始からずっとリードを守り続けたスパーズが111-93で勝利している。
アデトクンボが、ホリデーがプレーしていたら、試合は違った展開になっていたかもしれない。それでも目の前の試合を全力で戦い、相手を上回ったスパーズが勝利に値したのも確かで、指揮官グレッグ・ポポビッチはその戦いぶりをこう称える。「どんな理由があれ試合はやるし、彼らは勝つつもりでここに来た。しかし我々も勝ちたい。誰がコートに立とうが同じメンタリティで戦うんだ。コートに立つ相手を尊重して良いプレーをし、勝ったんだ」
スパーズは2日前のグリズリーズ戦でオーバータイムの末に敗れているが、この時点で選手たちは延長でジャ・モラントを抑えられなかったことではなく、第1クォーターに38失点を喫し、リズムを取り戻して戦うのがいかに大変だったかを口にしていた。その課題を生かすことができたからこその、今シーズン最少の93失点での勝利である。
バックスを相手に29得点のケルドン・ジョンソン、22得点を挙げたデビン・ヴァッセル、そしてオールラウンダーのジェレミー・ソーハンがド派手なプレーでチームを引っ張っているが、ディフェンスを基調とするスパーズの調子を左右するのは、むしろヤコブ・パートルやチャールズ・バッシーといった泥臭く身体を張るファイターだ。パートルはグリズリーズ戦の教訓を生かすべく試合開始から集中し、激しいディフェンスを見せた。そして新戦力のバッシーもベンチから18分の出場で14リバウンド4ブロックと、ゴール下で強烈な存在感を発揮した。
バッシーは昨年のNBAドラフトで全体53位指名を受けてセブンティシクサーズと契約したが、1年で解雇の憂き目を見ている。今オフは所属先が決まらず、今シーズン開幕後に2ウェイ契約でスパーズに加入した。所属が決まるのは遅かったが、その後はGリーグのオースティン・スパーズで大活躍し、今スパーズでチャンスを得るに至っている。
彼はサイズとパワーという自分の武器をどう生かすべきかを理解し、とにかくハードワークする選手。見た目よりも器用でフットワークが良く、カバーリングに長けている。ジョエル・エンビードとトバイアス・ハリスがいて、若手を育てる余裕のないシクサーズでは出番がなかったが、22歳の彼にとってスパーズは最高の学びと実践の場だ。
バックスに勝った後の会見でバッシーは「プレシーズンからチームと一緒に始められるのが理想だったけど、それを除けばすべて順調だ。若いチームに来て、今は多くを学んでいるところなんだ」と言う。
「ここには高校時代に対戦したことのある選手が何人もいる。同じ世代のチームメートが多いとやりやすいよ。みんな僕のプレーを評価してくれるから、僕としては毎日ただ一生懸命にやるだけなんだ」
バッシーは派手なプレーをするタイプではないため、ハイライトにはなかなか出てこない。それでも試合を通して見れば、泥臭く身体を張ることでチームプレーを円滑に動かす貢献が印象に残る。そして彼自身も、「ディフェンスは僕の一番の長所。そのディフェンスでエネルギーを出すことで身を立てていくつもりだ」と自信を持っている。シクサーズでは必要とされなかったが、スパーズのスタイルと文化にはピタリと合う。そんなバッシーは、スパーズが浮上するための重要な戦力となりそうだ。