ケビン・デュラント

ショーン・マークスGMに対するデュラントの不信感が再燃?

レイカーズは11月末まで今のロスターで様子を見ると言われているが、浮き沈みはありながらも開幕から2勝9敗で、シーズンはまだ長いとはいえ、半年後の未来は『プレーオフに進出できれば上出来』程度しか予想できない。

レイカーズに焦りがないはずはない。中心選手であるレブロン・ジェームズは38歳で、チームの再建を何年も待つわけにはいかず、まだ思うように身体が動く今シーズンを無駄にしたくないのは当然だ。幸いにもラッセル・ウェストブルックはベンチスタートを受け入れたことで調子の波が底を打ち、スター選手としての姿を見せつつある。ただ、レイカーズが彼に賭けることはもうない。「まだプレーできることを示したから、トレードが可能になった」というのが彼への扱いだろう。

レイカーズがトレードに使える1巡目指名権は2つ。これをトレードの駒として、年俸4700万ドル(約66億円)のウェストブルックを放出してサラリーのバランスを取る。これが現在の彼らに可能なテコ入れ策だ。

将来を見据えて1巡目指名権を手放したくない気持ちはあっても、他に手の打ちようがない。一つだけあるとしたらレブロンやアンソニー・デイビスをトレードに出してチーム解体へ舵を切ることだが、フロントにも大きな影響力を持つ彼らはもはや切り離せない存在になっている。

ペイサーズのバディ・ヒールドとマイルズ・ターナーとのトレードを見送っているのは、1巡目指名権を惜しむわけではなく、チームを再び優勝候補へと押し上げるには彼らではパンチ不足と考えているからだろう。今回のトレードに失敗したら、もう後がない。そのプレッシャーがレイカーズの意思決定を迷わせている。

ここに来て、レイカーズはブラッドリー・ビールがトレード可能になるのを待っている、という噂が浮上した。それでも、ビールは自分が望めば移籍できる状況にずっといたにもかかわらず、結局ウィザーズと5年契約を結んだ。ジョン・ウォール放出後もチームはそれほど強くなっておらず、NBAで優勝を狙えるチームかと言えば微妙なのがウィザーズの現状だが、それでもビールは自分を育ててくれたチームに忠誠を誓ったのだ。このタイミングでレイカーズ行きを望むとは思えない。

今のレイカーズが狙うべきは、ビールよりもケビン・デュラントだ。ネッツはジェームズ・ハーデンに愛想を尽かされ、スティーブ・ナッシュも去り、カイリー・アービングは出場停止となっている。デュラントはこの夏にトレードを要求し、撤回して戻って来た。だが、「誤解が解けて、すべて元通り」という説明を真に受ける者はいない。ショーン・マークスGMに対するデュラントの不信感は拭いきれておらず、今この状況にあって再燃しつつあるのではないか。

反ユダヤ主義を推したカイリーへの周囲の反発は大きく、契約延長がなされることはないだろう。もともとデュラントは仲の良いカイリーと2人で優勝しようとネッツへの移籍を選択したが、その夢は到底実現しそうにない。

レブロンとアンソニー・デイビスにデュラントを加えて、再び優勝戦線へと向かっていく。これがレイカーズにとっては一番のシナリオだろう。だが、ビールの状況がそうであるように、これはデュラントが再びネッツにトレードを要求しなければ始まらない。ロールプレーヤーではなく、優勝争いへとチームを引き上げられるスター選手を獲得できる機会を待ちながら、レイカーズは現状でできるベストを尽くさなければいけない。