陸川章

「チームとしても個人としても非常に成長できた大会となりました」

東海大は、14チームが2回戦総当たりで戦った関東大学リーグ戦1部に出場し、3位(20勝6敗)で大会を終えた。

今年の3月に1年時から主力だった大倉颯太、八村阿蓮、佐土原遼らが卒業し、同時に河村勇輝がプロ転向のため大学を中退するなど昨シーズンの中心選手が一気に抜けた。新チームとなって迎えた今シーズン最初の公式戦となった5月の関東大学選手権大会はベスト16で終わり、不穏なスタートを切っていた。リーグ戦も序盤こそ上位に定着することができなかったが、9試合目の白鷗大から怒涛の14連勝で一気に上位へ浮上。23試合目の白鷗大との再戦で連勝はストップするも、その後大きく崩れることはなかった。

東海大を率いる陸川章ヘッドコーチは、「チームとしても個人としても非常に成長できた大会となりました。春のトーナメントをベスト16で終わってしまって、周りから『東海は戦えないんじゃないか』と言われていましたが、みんながそれぞれの役割を果たして結果を出してくれました」と大会を振り返った。

陸川ヘッドコーチが常々東海大はディフェンスチームと話している通り、一人ひとりのディフェンスプレッシャーの強さが際立った大会となった。その強さが顕著に表れたのがスティール数だ。リーグトップの210本(1試合平均8.1本)を記録し、また個人では先発ポイントガードの島谷怜が42本でリーグ2位につけ、ベンチメンバーの黒川虎徹も31スティール、ハーパージャン・ローレンス・ジュニアも21スティールを記録した。

また、東海大はリーグ戦を戦う1週間ほど前にインドネシア、台湾、フィリピンの3カ国の大学と総当たりで戦う『Sun Chlorella presents World University Basketball Series』に参加し、力試しをしていた。この大会を通じて、陸川ヘッドコーチはディフェンスに手応えを得ることができたと話す。

「台湾の国立政治大とフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大との試合でかなりディフェンスに手応えを感じることができました。特に島谷などポイントガード陣がアジアのレベルを経験したのが大きかったかなと。トランジションディフェンスが改良されて、リーグ戦でも前からプレッシャーをかけられるようになっていましたね」

東海大

下級生の台頭でブレないチーム力を構築、2年ぶりのインカレ制覇へ標準合わせる

大会中盤に14連勝を記録するなど順調に勝ち星を重ねていたイメージのある東海大だが、キャプテンの松崎裕樹が8月末から1カ月の間戦線離脱し、チーム最高身長である2メートルの張正亮が2巡目の大東文化大戦で負傷し、その後のリーグ戦を欠場するなど、負傷者が続出していた。しかし、主力選手が欠場する中でも、今大会の優秀選手賞を受賞した2年生の金近廉やハーパーに加え、ルーキーの君座武志など下級生が伸び伸びとプレーして見せ、上級生が抜けた穴を補った。

「ケガの功名じゃないですけど、上級生がケガをした時に、下級生がどんどんチャレンジしてくれました。まだ良い時と悪い時の波がありますが、インカレまでに安定してくれば良いですね。僕らは5人のチームではありません。総合力で戦わないとインカレではなかなか太刀打ちできないので、チーム力を上げていきたいと思います」

2年連続のリーグ制覇とはならなかったが東海大は松崎がシーズン開幕前に宣言した『インカレ優勝』を変わらず見据えている。陸川ヘッドコーチも次のように意気込む。「インカレは悔しさを晴らす場です。やっぱりキャプテンがシーズン開幕前に言ったことをチームが一丸となって信じて、準備して挑戦していきます」

優勝の最有力候補とされながら、決勝で涙を飲んだ昨年のインカレから1年。雪辱を果たす時が近づいている。