サンズ暫定GMのジェームズ・ジョーンズの判断
サンズとの契約バイアウト後にレイカーズに加入し、デビュー戦で勝利に貢献したタイソン・チャンドラー。リバウンドとディフェンスに難があったレイカーズにとって『渡りに船』の新戦力となったが、この補強にはレブロン・ジェームズの親友、ジェームズ・ジョーンズの関与があった。ヒートとキャバリアーズでレブロンと7年間一緒にプレーしたジョーンズは、昨年に引退した後はサンズのバスケットボール運営部門副社長に就任し、現在は暫定GMを務めている。
チャンドラーは2015年に4年5200万ドル(約59億円)の契約をサンズと結んだが、今シーズンが契約最終年。36歳という年齢を考えれば、遅かれ早かれ2018年のドラフト全体1位指名選手ディアンドレ・エイトンとデビン・ブッカーを中心に若返りを推し進めているチームを去ることは確実だった。
ただ、ベテラン選手のバイアウトや解雇は、2月のトレードデッドライン後になるのが通例だ。チャンドラー自身も、レイカーズに合流した際には「シーズン中のこの時期に移籍が実現するとは驚きだ」とコメント。「シーズン中にバイアウトが成立するとは予想していたけれど、来年の2月か3月になると思っていた。こんなに早く実現してうれしい。それだけ早く新たなチームに移籍できるし、チームメートとの連携も構築できる」と語る。
A hard-fought but earned #LakersWin pic.twitter.com/IL2YGW1muq
— Los Angeles Lakers (@Lakers) 2018年11月8日
サンズにとって、チャンドラーはトレード要員となる大事な駒だ。チャンドラーにとってはベストのタイミングで移籍が実現したが、サンズにとってはデメリットの方が大きかった。そのため、巷ではジョーンズが親友レブロンを『サポート』したのではないか、とも言われている。
チャンドラーのレイカーズデビュー戦となった11月7日のティンバーウルブズ戦後、レブロンは、サンズの判断が選手にとって何よりも有益なものになったと『ESPN』に話し、「ジェームズは称えられるべき存在。彼のおかげだし、タイソンのようなベテラン選手にとって適切な判断をしてくれた」と称えた。
またレブロンは、将来的にNBAチームのオーナーになることがあれば、ジョーンズのためにフロント職に空きを用意しておくと、冗談を交えコメント。「彼には、『どこのチームで仕事をすることになっても、契約を破棄できる条項をつけておいてくれよ』と伝えたこともあるよ」と、笑顔で語った。
レイカーズが思わぬ形で、予想外の時期に優勝経験を持つベテランを獲得できた背景には、14年もNBA選手としてプレーし、ベテラン選手の心情を理解できるジョーンズの『ファインプレー』があった。開幕から苦戦続きだったレイカーズは、思わぬところから光明を見いだした。