ジェイソン・テイタム

「やっぱり優勝したい。その壁を乗り越えたいんだ」

セルティックスは開幕3連勝というスタートを切った。対戦相手のシクサーズとヒートは東カンファレンスの優勝を争うライバルで、マジックは強いチームとは言えないがヒート戦の翌日のバック・トゥ・バック(2試合連続の試合)であり、一歩間違えば逆の結果になっていてもおかしくない厳しいスケジュールだっただけに、この好スタートはチームに勢いを与える。

そんなセルティックスを引っ張っているのがエースのジェイソン・テイタムで、35点、29点、40点とここまですべての試合でチームハイの得点を記録。開幕3試合で96得点という、1984-85シーズンにラリー・バードが記録した球団記録を更新(104得点)している。40得点を挙げたマジック戦のパフォーマンスは、アウェーゲームながら一部のファンからMVPコールが起こるほどのものだった。

それでもテイタムは、126-120で勝ったマジック戦の後に「あまり良い試合ではなかった」と反省を語った。「マジックの選手たちは自信満々でプレーし、高確率でシュートを決めた。彼らを称えるべきではあるけど、それを別にして僕らのディフェンスは決して良くなかった」

MVPコールがあったことをどう思うかと質問されても、テイタムの表情は晴れない。「僕はNBAの舞台に立つだけで満足するわけじゃない。優勝したいし、たくさんのタイトルを取って称賛されたい。その一番上にあるのがMVPだ。でも、これまで何度も言ってきたし、これから何度も言うだろうけど、やっぱり優勝したい。その壁を乗り越えたいんだ」

「もちろん、この2つは密接に関係している。シーズンを戦ってベストチームになることは、僕やチームメートが高いレベルでプレーしていることを意味するし、昨シーズンがそうだったように選手としての評価は高まる。だから、必ずしもMVPは意識しなくていいと思っているんだ。ただ競い合う中でベストを尽くし、チームの勝利に貢献すればいい。それが自分のやるべきことだよ」

そういう意味では、まだ各チームが手探りのシーズン序盤に活躍しても、まだ手放しでは喜べないというのが彼の思いだ。NBAファイナルまで進んだ昨シーズンの経験が、その思いを強くさせている。「プレーオフで、ファイナルで得点するのがいかに難しいかが分かった。正直言って、レギュラーシーズンはそれほど激しくないし、ディフェンスも甘かったりするよね」

試合中の素晴らしいパフォーマンスとは裏腹に試合後の会見では淡々と話すテイタムだが、バスケを心から楽しんでもいる。それは「NBAファイナルで負けたせいで、この夏は長くみじめなものだった」からだ。

彼にとっては久々の長いオフだったのに、敗戦の苦味がずっと残って全く楽しめなかったらしい。「早く新しいシーズンになってほしいとずっと思っていたから、ようやく試合ができるようになってハッピーだよ」