最悪のシナリオはウェンバニャマ狙いで勝ちをあきらめること?
レイカーズのファンは開幕からたった2試合でパニックに陥りつつある。ウォリアーズに109-123で、クリッパーズに97-103で敗れる連敗スタート。開幕から強豪との対戦が組まれるのは人気チームの宿命で、連敗を過度に受け止めるべきではないが、問題はたった2試合で「このままではダメだ」と思わせる低調なパフォーマンスだ。
3ポイントシュートは2試合で85本打って成功わずか19本(22.4%)のみ。もともとレイカーズは3ポイントシュートを得意としておらず、昨シーズンも優勝した2019-20シーズンも成功率はリーグ下位だったが、3ポイントシュート全盛の今のNBAでこの弱点を抱えたままでは厳しすぎる。先発ガードのラッセル・ウェストブルックとパトリック・ベバリーは2人で20本中3本成功とひどい数字だが、どちらも3ポイントシュートを得意とするタイプではない。今シーズンもシューター不在がチームの欠陥であることが、たった2試合で露呈している。
昨シーズンの戦犯とされ、今もファンから疑念の目を向けられているウェストブルックは、初戦こそ19得点11リバウンドと及第点以上のプレーを見せたが、クリッパーズ戦ではフィールドゴール11本を放って成功なし、27分出場でフリースローによる2得点のみに終わっている。
プレシーズン最終戦でウェストブルックはハムストリングを痛めたが、それについて「身体を温めて準備させておく方法が分からなかった。慣れていないことだから」と、ベンチスタートの起用法が問題であるかのように話した。これに対して指揮官ダービン・ハムは「長らくトップレベルで活躍してきたから、それは理解できる」と語るとともに、「しかしプロフェッショナルであればチームに必要なことは何でもしなくちゃならない。どう起用するにしても、それがチームの成功に繋がるのであれば犠牲を受け入れなければならない」と、彼の起用法を見直すことを示唆している。
デニス・シュルーダーが親指を痛めて欠場したためにウェストブルックは先発起用されているが、この出来では先発は任せられない。だがシュルーダーが戻って来た時、彼はベンチスタートを受け入れられるだろうか。当然、ベンチスタートを納得すれば済む話ではなく、ベンチ起用でプレータイムが安定しない中で調子を上げていけるかどうかが問われる。ウェストブルックを取り巻く意見はネガティブすぎるものが多いが、それを差し引いても彼がこの状況で復活できるかどうか、懐疑的にならざるを得ない。
ウォリアーズとクリッパーズ、優勝候補との対戦でもう一つ見えてきたのが、レイカーズの選手層が貧弱すぎることだ。バディ・ヒールドとマイルズ・ターナーはいまだレイカーズのターゲットであるようだが、ロブ・ペリンカGMは開幕1カ月は様子を見るようだ。しかし、問題が明らかであれば対策は早ければ早いほど良い。このロスターで開幕を迎えたこと自体が失敗であれば、あと1カ月様子を見る意味があるのだろうか?
『ESPN』のアドリアン・ウォジロナウフスキは「買い手が多い状況で、需要と供給の駆け引きでレイカーズは様子見を決めた。状況が変わればレイカーズは動く」と予想している。ただ、この予想において最もポジティブなシナリオはヒールドとターナーの獲得で巻き返しを図ること。逆に最もネガティブなシナリオは、どこかのタイミングでシーズンをあきらめることであり、来年の1位指名が確実と見られるビクター・ウェンバニャマを狙うのであれば、様子見を長く続けるわけにはいかない。
レブロン・ジェームズを擁するチームが勝ちをあきらめ、2年連続でプレーオフを逃すとは信じがたいが、それほど先行きが暗いのがレイカーズの今シーズン最初の2試合の出来とも言える。今の戦力で早々に巻き返すことができなければ、大きな方針展開があるのかもしれない。