老獪なプレーで勝利に貢献
三遠ネオフェニックスは昨日、横浜ビー・コルセアーズと対戦し、終盤に3点差まで迫られるも逃げ切りに成功した。インサイドで主導権を握ったことで、内外バランスの良いオフェンスが展開でき、今シーズン最多得点となる97点を奪うハイスコアリングゲームを制した。
太田敦也は「出だしが悪かったんですけど、控えのメンバーが流れを良くしました。アタックした中でインサイドのファウルがこみ、そこから流れを作っていけたのが良かったです」と試合を振り返った。
太田が言うように、立ち上がりは決して良いとは言えず、第1クォーター残り4分には、ジャボン・マックレアに得点を許し16-24と突き放されかけたシーンもあった。だが、ここで太田が巧みなポストプレーでマックレアから2つ目の個人ファウルを誘発してベンチに追いやるとともに、フリースローも決めて悪い流れを断ち切った。その後、ウィリアム・マクドナルドが11本すべてのシュートの成功させるなど、ロバート・ドジャーも含めたインサイド陣が横浜を上回り、主導権を握った。
「前半は良い感じに攻めることができ、ゴール下で2本くらい決めました。でもそこに固執するとうまく行かなくなってしまうし、中と外というバランスが一番相手が嫌がるので」と太田が言うように、ペイントでの一辺倒になるのではなくインサイドアウトを繰り返し、ゾーンを無効化したオフェンスが効果的だった。
「少しでも確率の悪いシュートを打たせられれば」
太田は17分間のプレータイムで4つのファウルを誘発。アマンゼ・エゲケゼはファウルアウトし、マックレアとエドワード・モリスがともに3ファウルと、インサイド陣を揃ってファウルトラブルに陥れた点も大きな貢献だった。その一方で太田自身のファウルはなく、安定してゴール下を守った。さらに3ブロックで横浜に立ちはだかった。
ブロックショットについて触れると、「できたらいいなくらいで、ブロックする気はそんなにないんですよ」と笑顔で答えるのに驚く。確かに昨日は3ブロックを記録したが、ここまで12試合でブロックは一度も記録していなかった。
「僕がチェックすることで、少しでも確率の悪いシュートを打たせられればいいなっていう気持ちでやっているので」と太田はその言葉を説明する。確かにブロックショットは豪快でインパクトのあるプレーだが、ファウルになるリスクもつきまとう。タフショットを打たせる行為の延長にブロックショットがあることを、太田は深く理解している。
「能力がないのでそれしかできないです(笑)」というのは、太田らしいご愛敬だ。
「僕がもっと踏ん張らなきゃいけなくなる」
終始試合の主導権を握った三遠だったが、終盤には3点差まで迫られるなど、そうした脆さも露呈した。太田もそれは課題に感じている。「オフェンスリバウンドを取られたり、(ロバート)ドジャーが点を取っても、そのマークマンに走られて簡単にシュートを打たれたり。相手が強引に来ると引いてしまったり、流されちゃう部分もあって、みんなでそれをフォローしていかなきゃいけないです」
課題も残す三遠だが、元NBAプレーヤーのジョシュ・チルドレスの再加入は必ず追い風となる。インサイドの厚みが増し、起用法によってはチルドレスを3番で使うビッグラインナップも可能だ。オン・ザ・コートルールの変更により、ベンチ入りできる外国籍選手が2人までとなったことで、太田には今まで以上の働きが求められることになる。
「チルドレスというより、僕がもっと踏ん張らなきゃいけない時間帯が多くなると想定しています。チルドレスが出ることになったら、その時に4番を僕がカバーしなきゃいけないし、ウィルが出なかったら5番をやらなきゃいけない。僕が一番のキーになるんじゃないか」と太田は言う。
チルドレスを3番で使えることは攻撃力アップに繋がるが、インサイドの守備力低下につながる可能性も否定はできない。だが太田が他チームの強力外国籍選手を抑えることができれば、三遠はリーグの中でも軽視できない存在へとなるはずだ。
三遠が真の強豪となるには、「やり切る自信はありますよ」と表情を引き締める太田の双肩に懸かっている。
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