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健康不安を抱えた指揮官を支えたのは、GMとアシスタントコーチだった。

NBA新記録となるシーズン73勝(9敗)という大記録を樹立したウォリアーズを率いるスティーブ・カーが、2015-16シーズンのNBAコーチ・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ヘッドコーチ賞)を受賞した。

昨年夏に腰の手術を受けたカーは、脊髄から髄液が漏れたことが原因で頭痛などの症状に苦しみ、レギュラーシーズン前半戦の指揮を執れなかった。休養とリハビリに時間を費やす彼を支えたのはGMのボブ・マイヤーズだった。

「私の人生の中で最も辛い1年だった」と語ったカーは、マイヤーズに対する感謝をこう述べている。

「ひどく苦しかった時、ボブは毎日電話をくれて、サポートを申し出てくれた。もしボブとマーゴット(カー夫人)、それに子供たちがいなかったら、きっとチームに戻れなかっただろう。そのくらい辛かった。ボブの友情とサポートは、バスケットボールで繋がっている関係をはるかに超えている。我々の友情が損なわれることはない」

そのマイヤーズもまた、難しい1年を送った。昨年9月には妹の夫がエベレスト山で事故に遭い他界。失意に苦しむ妹を支えながら、カーの健康面を優先し、長期療養させるという判断を下した。

急遽ヘッドコーチ代理という役割を受け入れたルーク・ウォルトンの働きも称賛に値する。ヘッドコーチ経験がなかったにもかかわらず、カーの助言を仰ぎつつチームを率い、シーズン73勝の大記録樹立に貢献した。

「人生で約束されていることなど何一つない」と言うカーは、好きなことを仕事にして生活を送れている自分たちを「地球で最も幸運な人間」と、形容している。

「チームとしてのアプローチの方法は、自分たちがやっていることのプロセスを楽しみ、喜びを感じること。我々は、地球で最も幸運な人間だ。バスケットボールをプレーすることで生活し、バスケットボールの指導をして生活ができている。そしてファンの前、テレビの向こう側にいる人たちの前でプレーできている。我々は、世界中の大半の人が夢に見る世界で生きている」