ケビン・ポーターJr.

昨シーズン後半に大きく成長もオフコートでの問題行動が懸念材料

ロケッツはケビン・ポーターJr.とルーキー契約からの延長に合意した。『ESPN』は4年契約で総額は最大8250万ドル(約122億8000万円)に達すると報じたが、『The Athletic』によると保証されているのは新契約1年目となる2023-24シーズンの1590万ドル(約23億6800万円)のみという異例の内容になっている模様だ。

2019年のNBAドラフト1巡目全体30位指名でキャバリアーズに入団したポーターJr.は、1年目に50試合に出場して平均10.0得点、3.2リバウンド、2.2アシストを記録。しかし、2年目は大学時代から懸念されていたオフコートでの問題行動によってチームとの関係が悪化し、開幕から欠場が続いた末に2021年1月にロケッツへトレードされた。

昨シーズンのポーターJr.は61試合に出場して平均15.6得点、6.2アシスト、4.4リバウンドとロケッツの中心選手として活躍した。また、オールスターゲーム以降の後半戦については、22試合に出場して平均18.9得点、6.1アシスト、5.0リバウンドを記録。さらにシーズン最後の7試合に限れば平均28.7得点、7.4アシスト、7.3リバウンドと素晴らしいパフォーマンスを見せている。

このようにロケッツ加入以降は着実に成長しているポーターJr.だが、一方で精神面の未熟さなどオフコートの課題は改善できていない。昨シーズンも1月にハーフタイムでコーチと衝突すると、そのままアリーナを去る問題行動を起こしている。

今回の契約で保証金額は1年目のみと言われているのは、ロケッツも彼のオフコートでの素行不良の不安を払拭できていないことの現れだろう。一方で彼の才能を高く評価しているからこそ、総額120億円以上の契約を提示している。また、ポーターJr.もこの内容で合意したのは、かつて「ロケッツは僕の人生を救ってくれた」と語ったように、自身を負のスパイラルから断ち切ってくれたチームに感謝しているからだろう。

ロケッツの指揮官スティーブン・サイラスは、ポーターJr.の契約延長を知った時にメディアの前で感極まった姿を見せた。そのサイラスと同様に、首脳陣も彼に大きな期待を寄せている。このままポーターJr.が、問題行動を起こさずプレーに集中し、4年契約を全うできる結果を残せた時、ロケッツの成績も向上しているはずだ。