ウォリアーズ

プール殴打事件を乗り越え、王朝を再び築けるか?

ケガ人が多発し、力を溜める2シーズンを経て、ウォリアーズは見事にチャンピオンリングを取り返しました。ステフィン・カリーはフィールゴール成功率を大きく落としながらも、従来のチームオフェンスだけでなく、個人技での打開でも得点を量産し、個人として唯一足りていなかったファイナルMVPも手に入れ、完璧なるカムバックを果たしたと言えます。

しかし、今オフは優勝チームらしからぬ不思議な展開が待っていました。これまでウォリアーズは『優勝に一番近いチーム』として、安いサラリーでロールプレーヤーを揃えてきましたが、その代表格だったオットー・ポーターJr. が家族の希望もあってラプターズへと移籍すると、ネマニャ・ビエリツァはユーロへと戻ることを選びました。ジャーニーマンだったゲイリー・ペイトン2世についてはトレイルブレイザーズから複数年契約を提示されたため、移籍を選ぶのは必然であったものの、ホワン・トスカーノ・アンダーソンやデイミオン・リーが新天地を選んだため、主役以外は顔ぶれが大きく入れ替わることになりました。

代役となるのは優勝を求めて移籍してくるベテランではなく、力を溜めていた2シーズンの間に加入したドラフト1巡目指名の若手有望株達になります。ウイングのジョナサン・クミンガとモーゼス・ムーディーはルーキーシーズンでチーム戦術への理解が進み、戦力として計算できる選手へと成長しており、28位で指名したパトリック・ボールドウィンJr.はチームメートとのパス交換からの3ポイントシュートでプレシーズンの段階から高い適応能力を示しており、チームの大きな助けになりそうです。あとは圧倒的な身体能力を見せるセンターのジェームズ・ワイズマンの戦術理解さえすすめば、強力なベンチメンバーが揃います。

また、フリーエージェントで加入したドンテ・ディビンチェンゾは、大胆なポジション取りのディフェンスと危険なスペースを埋めていく読みの良さで、難しいディフェンスシステムへの適応力を見せれば、オフェンスではシュート力の高いポイントガードとしてジョーダン・プールとの相性の良さを見せています。

ところがトレーニングキャンプ中に、そのプールをドレイモンド・グリーンが殴る事件が発生しました。結果的にウォリアーズはプールに4年1億4000万ドル(約200億円)の延長契約を提示し、アンドリュー・ウィギンズとも1億900万ドル(約150億円)で新契約を結ぶとされています。今シーズンはいいとして、プールとウィギンズの新たな契約が始まる2023-24シーズンは予算を大幅に超過し、ラグジュアリータックスを加えた総額も膨大になるため、王朝を築く中心となったドレイモンドとの決別が待っているかもしれません。

優勝したチームに若手有望株が並ぶという不思議なロスター構成で連覇を目指しますが、これだけの素材がいるのならばトレードが起きても、簡単にカバーしてしまいそうです。ヘッドコーチのスティーブ・カーはシーズン中には様々なパターンを試すため、若手のミスからの敗戦もあるでしょうが、プレーオフまでに整理してくるはずです。不穏な開幕ではありますが、様々な変化が起こる面白い新シーズンになりそうです。