河村勇輝

持ち味であるアグレッシブなディフェンスで流れを引き寄せての逆転勝ち

横浜ビー・コルセアーズは10月16日、ホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。22得点12アシストのダブル・ダブルを達成した司令塔の河村勇輝を軸に、後半に入って攻守で名古屋Dを圧倒した横浜BCが88-78と見事な逆転勝利を収めた。

この試合の前まで4連敗中の横浜BCは、第2クォーターにインサイドの要であるチャールズ・ジャクソンがファウルトラブルに陥った隙を突かれて12-26とビッグクォーターを許してしまい、40-52で前半を終えた。しかし、横浜BCは第3クォーターに入ると守備の強度を取り戻し、このクォーターだけで12得点の森川正明、7アシストの河村を中心としたテンポの良いオフェンスで25-12とビッグクォーターをやり返して一気に逆転する。そして、この勢いのまま第4クォーターでも主導権を握り続け、難敵の名古屋Dを撃破した。

本日、大暴れだった河村はディフェンスからつかんだ勝利と試合を振り返った。「今日はパトリック・アウダ選手がコンディション不良で欠場の中、前半にビッグマンがファウルトラブルに陥り、すごくタフな状況になりました。ただ、ここで我慢してハーフタイムには『後半でビッグマンが戻ってきた時に、もう一回自分たちの持ち味であるアグレッシブさを発揮してディフェンスを頑張ろう』と話しました。そこでカムバックすることができて良かったと思います」

また、前半で12点差をつけられたが、今シーズンの横浜BCであれば十分に挽回できる点差であると自信を見せる。「横浜BCは後半に良い流れを持っていける力があります。たとえ10点離されていても、自分たちの流れが来たら簡単にひっくり返せると思っているので焦りはなかったです」

ここまで横浜BCは開幕戦で広島ドラゴンフライズに96-89で勝利するも翌日に痛恨のブザービーターで敗戦。その後も島根スサノオマジック、昨日の試合と終盤まで食い下がったが接戦を落とすケースが続いていた。

それだけに、こうして前評判の高い名古屋Dを撃破しての連敗ストップを「すごく大きなものだと思います」と河村は語る。「広島、島根、名古屋Dと西地区の強豪にあと一歩で負けていて、負け癖がつきそうな状況でした。あと一歩、何かが足りなくて勝てない状況が数試合続いていました。その中で特に逆転して勝てたことは勢いに乗れます。また、ホーム開幕節で勝てたのはホームの観客の皆さんの力もあったと思います。皆さんに感謝しながらこの1勝を大事にしたいです。来週も茨城とのホームゲームがありますが、今日の勝利でどうすれば勝てるのか分かったと思うので、積み重ねていきたいです」

河村勇輝

5試合連続で2桁アシストも「僕がボールを所持してプレーするので自分の役割」

これから横浜BCが勝ち星を増やしていくには接戦をいかに勝ち切れるかが重要で、そのためには司令塔として河村がゲームメークを担う部分も大きい。ここまでの様々な経験を踏まえ、河村は「ベストな選択をしたいです」と、より意識すべき点を挙げる。

「自分のシュートタッチが良ければ狙いにいきますし、今日は最後にビッグマンのチャールズ・ジャクソン選手がポストのところで分があると思っていました。ゲームクロージングの中で何がベストなのかを瞬時に判断できるようにしないといけない。それは経験の中で培われるものですが、今日は自分でも良かった部分はあると思います」

開幕6試合を終えて、河村は1試合平均15.2得点、11.2アシスト、3.5リバウンド、2.5スティールと驚異的な数字を残している。中でも特質すべきはアシストで、今日で5試合連続2桁をマークしている。

だが、この傑出した記録について河村は「今の横浜BCのバスケットは僕がボールを所持してプレーすることが多いので、ある意味で当然の結果というか。それが一つ自分の役割だと思っています」と冷静だ。「特に今のチームはシューターが多いので、彼らが3ポイントシュートを決めるくらいの感覚で、僕もクリエイトしてアシストをつけないといけない。(アシストを)意識しているわけではないですが、チームが求めているバスケットを忠実にやっている結果、量産できている感じです」

開幕6試合を終えて2勝4敗の成績自体は、昨シーズン(3勝3敗)よりも悪い。だが、内容からいえば今シーズンの横浜BCには昨シーズンよりも大きな可能性を感じられ、その原動力が河村であることは間違いない。本人が意識するのはチームを勝利へと導く方法だけだろうが、彼がどこまでアシストを量産していくのかも楽しみだ。