グラント退団で、キャリア2年目の21歳がチームリーダーに
ケイド・カニングハムは昨シーズン、NBAドラフト全体1位指名に相応しいプレーを披露した。足首のケガで出遅れ、開幕前にチームメートと連携を深めることができないハンデを背負いながらも、64試合に出場して17.4得点、5.5リバウンド、5.6アシストの数字を残している。
ポイントガードとしての彼の真価はスタッツには残らない部分、フロア全体の状況を見て最も適切なプレーを選択することでゲームを支配していくファシリテーターとしての能力だ。ディフェンスの視野から外れたチームメートを把握し、次の瞬間に起きる状況を高い精度で予測してコートを広く使いながらプレーを組み立てられる。再建中のピストンズでは個人能力に優れた選手が多いとは言えず、このカニングハムの才能が最大限には生かされているとは言い難いが、この才能が彼の輝かしいキャリアを保証している。
NBAのレベルに上がっても、この能力が損なわれることなく発揮できていることには驚かされる。21歳とは思えぬ冷静さ、安定感について、『Andscapes』の取材に応じたカニングハムは、1年前にケガで出遅れたことがプラスになったと語る。
「開幕前の早い段階で自分のプレーの感触を確かめたかったけど、その代わりにコートの外から見た経験が精神的にプラスになった。心の中でいろんなことを考えて、それが自分を落ち着かせ、安定させてくれた」
もう一つ、彼を精神的に成熟させたのは、2018年に娘が生まれて父親になったことだ。「娘の誕生はカルチャーショックで、僕は成長しなきゃならなかった。やることすべてが正しくなければならない、と思った。僕を見て、追いかけ、必要とする子がいるんだから、人生へのとらえ方は変わるよ」
だからこそ、プロキャリア2年目の21歳でありながらピストンズのリーダーになることに恐れはない。ピストンズは今オフ、エースにしてリーダーだったジェレミー・グラントを放出し、チームを引っ張る役割はカニングハムに託される。
エース放出でピストンズの再建はまだまだ続く印象を受けるが、カニングハムは「曲がり角はもうすぐだ」と言う。「このチームには多くのタレントがいて、みんなで切磋琢磨しているし、お互いの理解も進んでいる。もちろん、このリーグで簡単に勝てるわけじゃないけど、一日一日を大切にして成長していくんだ」
「そうやっていればプレーオフ進出は見えてくる。プレーオフで自分たちがどこまで行けるか試してみたい」