ケビン・デュラント

守備に不安も、トランジションからの点の取り合いに勝機を見出す

ケビン・デュラント、ジェームス・ハーデン、カイリー・アービングの超豪華なビッグ3を揃えたのも束の間、勝てない状況にスーパースターたちは次々と不満を漏らし、ハーデンをトレードで放出したと思ったら、今度はアービングとの契約延長交渉が不調に終われば、デュラントはトレードを要求してきました。2人とも残ることになったものの、話題に事欠かないオフでした。

それでもロイス・オニールやTJ・ウォーレンを獲得し、パティ・ミルズの残留など、戦力整備はしっかりと進めました。キャンプ契約ながら渡邊雄太も加えられるなど、特にウイングの補強に余念がなく、その一方でアンドレ・ドラモンドやブレイク・グリフィン、ラマーカス・オルドリッジといったインサイドでの仕事を担当していたビッグマンが去ったものの、センターは獲得せず、かなり偏った選手構成になっています。

スターターのセンターとしてはベン・シモンズの起用が予想されており、分厚くなったウイング陣と合わせてスピードを重視した構成になっています。わかりやすくトランジションからの点の取り合いに勝機を見出すスタイルは、ジョエル・エンビードやヤニス・アデトクンボらのビッグマン対策が重要な東カンファレンスでは異質で、徹底した独自路線を貫くことになりました。

周囲の助けがなくても個人技で決められるデュラントとアービングよりも、シモンズを中心にした戦術構成が予想され、かなり大きなスタイルチェンジが行われそうです。ヘッドコーチのスティーブ・ナッシュが現役時代に体現していたスタイルですが、中心となるパサー役をポイントガードではなく、センターに任せるのは現代的でもあり、ジョー・ハリスやセス・カリーなどシューターも充実しているだけに、アップテンポなバスケが展開されそうです。

ディフェンスを中心に不安要素も多いですが、チームがバラバラになりそうな現状では変に柔軟性を持つよりも、意思の統一を生みやすい振り切った戦術の方がネッツの現状に合っています。徹底的に『自分たちのバスケ』を追及するのは、スーパースター軍団らしさでもあるだけに、結果さえついてくれば不協和音は消えてなくなるでしょう。新シーズンに向けて準備した新たなスタイルがハマれば、ネッツが抱える様々な問題が一気に解決しそうです。