ベン・シモンズ

「まだ迷いはあるはずだが、プレーすることで自信を取り戻していくしかない」

ここ最近のネッツは、昨シーズン中のジェームズ・ハーデンとベン・シモンズのトレード、そして今夏のケビン・デュラントのトレード要求など、何かとコート外の出来事で世間を騒がしている。それでも、カイリー・アービング、デュラント、シモンズを擁するリーグ屈指のスター集団であることには変わらず、『今シーズンこそ』と期待を寄せる人も多いだろう。

その中で鍵になってくるのがシモンズだ。211cmのサイズながら1番から5番まで守ることができるディフェンス能力を持ち、フィジカル負けしない体躯を備え、力強いドライブから得点やアシストを量産できるポイントガードだ。しかし、昨シーズンはセブンティシクサーズでチームとの関係が悪化しプレーせず、ネッツに移籍後も腰のケガで1試合も出場しないままシーズンを終えた。

そんなシモンズは先日のプレシーズンゲームで実戦復帰を果たした。シクサーズ戦ではフォワードでプレーし19分の出場で6得点4リバウンド5アシスト2ターンオーバーを記録。続くヒート戦ではアービングとジョー・ハリスが休養を取ったため、シモンズはポイントガードを担当したが、プレーメークが上手くいかずにオフェンスは停滞。チームも80-109と大敗を喫し、シモンズ自身も25分の出場で4得点10リバウンド4アシスト、そしてゲーム最多の6ターンオーバーを記録してしまった。

約1年半のブランクを取り戻すにはさらなる時間が必要だ。指揮官のスティーブ・ナッシュは「彼は信じられないほどの才能を持った唯一無二の選手だから、私たちは辛抱強く待つ」とシモンズについてコメントした。「短期間でベストの状態にはなれないと思う。彼は自信や試合勘、リズムを取り戻すためにも、この期間をただガムシャラにやり続けないといけない。彼は長い間プレーしていないし手術もした。だからまだ迷いはあるはずだが、プレーすることで自信を取り戻していくしかないんだ」

シモンズは一昨シーズンの東カンファレンスセミファイナルで深刻なシュートスランプに陥り、ハック戦術の的となった。ファンやメディアだけでなく、チームメートやヘッドコーチにまで敗因の責任を負わされた彼は球団に不信感を抱き、「僕は助けを必要としていたけど、誰も手を差し伸べてはくれなかった」とJJ・レディックのポッドキャスト番組に出演した際に当時に心境を明かしていた。

そういった背景を持つだけに、ナッシュは組織としてサポートしていることをシモンズ本人にも知ってほしいと続け、あらためて「私たちはみんな、彼を信じている」と強調した。「私たちは彼を信じているし、彼が大きなインパクトを与えると思っている。ただ、時間はかかるし、彼自身も忍耐強くならなければいけない。すぐに結果が出ることを望んでいるけど、上手くいかない時もあるだろう。その時は、辛抱強く彼に自信を与え続けて、それを乗り越えるしかない。もちろん、簡単なことではない。ただ、私たちも彼がいろいろな経験をしてきたことを理解しなければいけない」

シモンズが心身ともに健康な状態で2022-23シーズンを全うすることができるか。ネッツ、そしてシモンズの再起に期待したい。