ケンバ・ウォーカー

「焦っても意味はないし、チャンスは必ず来ると思っている」

ケンバ・ウォーカーはキャリアの危機に直面している。長年プレーしたホーネッツを離れてセルティックスに移籍した2019-20シーズンに左膝を痛めたのがすべての始まりだった。ホーネッツ時代はほとんど欠場しない選手であり、責任感の強さから痛みがあるにもかかわらずプレーを続けたのが状態を悪化させた。翌シーズンは2日連続の試合に出られなくなり、得点を減らしてアシストを増やすプレースタイル変更に取り組むも、それは得点力という最大の特長を消す結果にしかならなかった。

昨年オフに地元であるニックスへと移籍するが、ここでも膝のケガで納得のいくプレーができず。さらには指揮官トム・シボドーと衝突して出場機会を失い、2月を最後に試合に出ないことを決めた。今オフにはピストンズにトレードされたが、チーム構想には入っていない。

もはや彼がNBAのチームでエースを務めることはないが、限られた役割であれば有用であるはずだ。ラメロ・ボールに続くポイントガードの2番手として、古巣ホーネッツへの復帰が最も可能性の高い選択肢だが、それはまだ実現していない。

『The Charlotte Observer』の取材に対してケンバは「僕のタンクにはまだ燃料が残っている」と言う。「今は焦らずにチャンスが来るのを待っている。焦っても意味はないし、チャンスは必ず来ると思っているから、ただコンディションを高めていくことだけに集中しているんだ。今の調子はすごく良いよ」

彼はピストンズと910万ドル(約13億円)の1年契約を残しているが、そこは譲歩が必要だろう。そしてチーム内の役割でも譲歩が求められるが、ケンバは「僕はバスケがプレーしたいだけで、気にしないよ」と語る。「僕のバスケのキャリアはベンチからスタートした。誰も気にしないよ。ただ素晴らしいチームメートに囲まれてバスケを楽しみたいんだ」

ケンバは生まれついてのリーダーであり、ベンチを受け入れてもチーム内に不協和音を起こすタイプではない。ロンゾ・ボールのケガが長引くブルズ、ジェイレン・ブランソンの穴が埋まらないマーベリックスも選択肢となるが、優勝争いを目指すチームよりも再建中で若手の良き指南役を務められるホーネッツがやはり一番ハマりそうだ。

ケンバは「焦りはない」と言うが、キャリア12年目にして初めてプレーする場所のない状況に心中穏やかではないはずだ。果たして彼の能力とプロフェッショナル精神を正しく評価するチームは現れるのだろうか。