替えの利かないザイオンの融合が課題
チームの中心であるザイオン・ウィリアムソンが開幕から欠場を続け、低調だったペリカンズでしたが、トレードデッドラインでCJ・マッカラムを獲得すると急激に改善し、最終的にはプレーイン・トーナメントを制してプレーオフへと進みました。素晴らしいチームへと進化した中で、今度はザイオンの融合が課題となります。
面白いことにオフェンス能力が強みのマッカラムが加わってからは、むしろディフェンスのチームとして機能しました。ヨナス・バランチュナスとジャクソン・ヘイズを並べてリムプロテクト力を高め粘り強く守り、やや連携が失われたオフェンス面はマッカラムとブランドン・イングラムが個人技でシュートまで持っていく形で攻守のバランスを成立させました。
また、ハーブ・ジョーンズやトレイ・マーフィー3世、ナジ・マーシャルらのウイング陣がディフェンスの奮闘と献身的なフリーランニングでオフェンスにも躍動感をもたらし、ホセ・アルバラドのエネルギー溢れるプレーがチームに勢いをもたらしました。気が付けばロールプレーヤーたちの輝きはペリカンズ最大の武器となり、マッカラムとイングラムの仕事を楽にしてくれたのです。
ザイオンの能力には疑いの余地はないものの、ロールプレーヤーたちのような運動量や献身性はなく、あくまでもマッカラムとイングラムが担っていた仕事が分配されるイメージです。ザイオンの信じられないスピードとパワーは、モンスターの集まりであるNBAでも圧倒的で、得点力は確実にアップしますが、インサイドではサイズ不足で、ペリメーターでのチェイス能力にも疑問があるだけに、ディフェンスでの使い方が難しい選手です。誰かを削ってザイオンを起用することになりますが、特殊な選手だけに単純な入れ替えでは済まないことが、悩ましいところです。
今オフは目立った補強はなく、ザイオンとのマックス契約に加え、マッカラムとラリー・ナンスJr.とも契約延長を締結し、現行メンバーをキープする方針を明確にしました。短期的なチーム作りではなく、ザイオンをしっかりと融合させ、着実にチーム力を上げていくことを選んだことになります。焦ることなく、地に足を付けた進化を目指すシーズンになりそうです。