広島ドラゴンフライズ

最終クォーター残り約6分で19点のリードを奪うも……

川崎ブレイブサンダースvs広島ドラゴンフライズの第1戦。ホーム開幕節で負けられない川崎に怒涛の反撃を受けるも、終始試合をコントロールした広島が、最終クォーター残り6分21秒の時点で得た最大19点のリードを最後まで守り抜き、72-71で勝利を収めた。

試合は終始広島のペースだった。ガード陣がボールマンへ激しいプレッシャーをかけ、ヘルプマンも切り込んでくる相手のボールに手を出してファンブルを誘った結果、第1クォーターだけで8本ものターンオーバーを誘発。パスの名手としても知られるニック・ファジーカスから1試合で9個のターンオーバーを誘ったように、広島のフィジカルなディフェンスは機能していた。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチも「ウチはニックに一度ボールを預けて、そこから展開することを練習してきました。今日もそれを指示することが多かったですが、ディナイをされてボールプレッシャーが相当かかって、パスを出すところに(相手の)手がいつもあるような状態でした。良いタイミングでパスが出せず、ボールプレッシャーで崩された印象です」と、広島のディフェンスに苦しめられたことを認めた。

こうして、ディフェンスからリズムをつかんだ広島は速攻でのイージーシュートを次々と沈め、寺嶋良や辻直人を起点としたハーフコートオフェンスも噛み合った。そして、9点をリードして最終クォーターを迎えた広島は、この日チームハイの22得点を挙げたニック・メイヨの個人技でリードを2桁に乗せると、寺島の速攻や辻の3ポイントシュートも決まり、開始約4分でこの日最大となる19点のリードを奪った。

この時点で勝負は決まったかに思われたが、川崎がここから怒涛の追い上げを見せる。ここまでチームとして当たりが来なかった3ポイントシュートを、ヒースと篠山竜青が連続で成功させて流れをつかむと、広島の守備網にかかり本領を発揮できていなかった藤井祐眞が連続スティールから速攻を決めて、約2分間で11-0と走る。川崎はビハインドを1桁に戻して以降もアグレッシブに仕掛け続け、約5分半の間失点をゼロに抑えた。

それでも、残り1分を切った場面で辻がファジーカスとの1on1からドライブを決め、リードを3ポゼッション差にしたところで勝負アリ。試合終了と同時にマイケル・ヤングジュニアに3ポイントシュートを決められたが、1点差で逃げ切った。

広島のカイル・ミリングヘッドコーチは「川崎は絶対にこのままでは終わらないと思っていたが、案の定追い上げらた。それでも最後までチーム一丸となって戦えて勝利をつかみ取れた」と試合を総括した。

終盤に個人5個目のファウルを犯し、一番やってはいけないフリースローを与えるなど、持ち前のバスケIQの高さを見せることはできなかったが、オールラウンダーのドウェイン・エバンスが今シーズンのデビューを飾ったことも含め、広島にとっては会心の勝利となった。