内容は良くないものの、横浜に勝ち切る
新潟アルビレックスBBは昨日の横浜ビー・コルセアーズとの第1戦に勝利し、7勝4敗で同率ながら中地区首位に浮上した。
79-72というスコアが示す通り、決して楽な試合ではなかった。五十嵐圭は9得点7リバウンド7アシストと攻守で勝利に貢献したが、「シュートは打てていたんですけど、アウトサイドの確率は良くなかったですし、インサイドアウトのバランスがうまくいかなかったので、内容はあまり良くなかったです」と、まずは反省の言葉で試合を振り返った。
ダバンテ・ガードナーが29得点、ラモント・ハミルトンが22得点と、インサイドを締めるゾーンディフェンスを攻略したとも言える結果となったが、「僕的にはあまりうまくいってない感じでした」と、五十嵐の実感は違うようだ。
というのも、10月24日の横浜戦ではハミルトンがティップオフと同時に負傷し、終始オン・ザ・コート1を余儀なくされたにもかかわらず、88-72と快勝を収めた成功体験があったからだ。「前回は常にこちらがペースをコントロールして、良いオフェンスを組み立てながらアウトサイドに入っていたので。そのイメージがあったので、オン・ザ・コート2でスタートしたのもありますけど、ガードとしてはあまりうまく攻めれていなかった」
それでも一時は逆転を許し、終盤に猛追されながらも勝利したことは大きな意味を持つ。五十嵐も「ハイ&ローのプレーが出たり、そこからアウトサイドが出たり。ミスが続いてうまくいかないから違ったことをやるわけではなく、自分たちのやってきていることをやり続けたところが良かったと思います」と、しっかり勝ちきれたことを収穫に挙げた。
「人間には慣れがありますからね」
現代バスケはタイムシェアが主流となりつつあり、それはBリーグも同様だ。そんな中、五十嵐は3シーズン連続で平均プレータイムが30分を超え、昨日の試合でもほぼフル出場となる38分36秒間コートに立ち続けた。
38歳のプレーヤーにとっては酷に違いないプレータイムについて問うと、「疲れてないというのは嘘になりますけど、人間には慣れがありますからね」と五十嵐は表情を崩さずこう答えた。
「コートに出てる以上は責任がありますし、とにかく勝つことを一番に考えているので、その結果プレータイムが増えてしまっています。そこはスタッフや庄司(和広)さんとも話をしながら、『大丈夫か?』と気を遣ってくれますが、自分の中では全然大丈夫ですと言っています」
38歳のベテラン、五十嵐本人が意に介さず元気にプレーしているのは、チームにとって心強いことは間違いない。だが長丁場のシーズンを戦い抜くうえで、それはケガのリスクもつきまとい、庄司ヘッドコーチも「セカンドユニットのステップアップ」を急務と感じている。
セカンドユニットの底上げのために
五十嵐も「強豪チームと比べて、選手層に関しては少し弱いなと僕自身も感じています」と同調する。チームが真の強豪になるために、五十嵐は自身の経験を踏まえ、若手への期待をこう語った。
「プロである以上、自分自身が結果を残していく。そうすれば自ずとプレータイムも勝ち取れると思います。僕自身、若い頃からそういう思いでずっとやってきているので。それを勝ち取るくらいの気持ちをもっと若い選手たちには出していってもらってもいいのかなと思います。試合の中でもそうですけど、普段の練習の中から自分自身が変わっていかないといけません。『試合に出れないからダメだな』ではなくて、じゃあ試合で結果を残してやるというような、強い思いを持ってやってほしいです」
過去2シーズン、新潟はB2降格圏内には入らないものの、チャンピオンシップ出場争いには食い込めないでいる。強豪と呼ばれるチームとなるため、若手に対し、あえて突き離すような表現をしている五十嵐の思いは必ずチームの底上げとつながるはずだ。38歳の超人は背中でメッセージを送りつつ、今日もコートに立ち続ける。