原修太

スタッフ陣の移籍を経験するも「僕たちは不安に感じたことはありません」

ヘッドコーチを含む多くのスタッフ陣が今夏にチームを去った千葉ジェッツは、新指揮官にジョン・パトリックを招聘して2022-23シーズンを迎えた。

ほとんどの選手が残留したとはいえ、Bリーグ史上初めてとも言えるスタッフ陣の総移籍だっただけに、開幕前は新生千葉Jに対し不安や心配の気持ちを抱えた人は少なからずいただろう。それでも大阪エヴェッサとの開幕節を無事に勝ち切ったことで、その思いを払拭できた人もいたはずだ。

千葉J一筋で在籍7シーズン目(アーリーエントリー時を除く)を迎える原修太にとって新たな環境下での船出となったが、本人は「正直、僕たちは不安に感じたことはありませんでした」と語る。「今までは僕も富樫(勇樹)も(西村)文男さんも(大倉)颯太も、大野(篤史)さんの下でやってきたので、システムが真逆とまではいかないけど、戸惑いというか、質問や意見交換をしたり、疑問に思うこともありました。ただ、やるのは選手です。僕たち選手は変わっていないですし、自信しかありません。もともと不安はないので、上手くやっていると思います」

原が言うように、指揮官が代わればチームルールなども変わるため、最初は戸惑いがあるのは当然だ。そんな中、この開幕節ではパトリックヘッドコーチが選手と密にコミュニケーションを取っている姿が目立った。選手をベンチに下げる際やボールが止まった時には、ベンチにいる選手に自ら駆け寄り頻繁に話しかけていた。

この点について、パトリックヘッドコーチは「それはヨーロッパでは普通です」と明かす。「選手がミスをした後は、ちょっと時間を与えて冷静になってから話すけど、ヨーロッパのトップリーグでもフィードバックは大切でした。選手たちもコメントに対して、自分の意見を出したりしますし、たまにプレーがちゃんと見えなかった時は『何があったの?』と選手に聞きます。選手とコーチたちのコミュニケーションは大事な部分です」

原修太

「ジョンさんはチームの結束を大事にする方」

パトリックヘッドコーチはかつてJBL時代にトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)でヘッドコーチを務めたことがあり、試合後の記者会見でも通訳を通さずに対応するほど日本語が堪能だ。原は「日本語もしゃべれますし、本当にフレンドリーです」と言い、パトリックヘッドコーチの人柄にも触れた。

「ジョンさんはチームの結束を大事にする方なので、遠征先では一緒に『いただきます』をしようみたいな(笑)。今まではそれぞれが試合時間やコンディションに合わせてやるスタイルだったのが、寂しがり屋なのか分からないですけど(笑)、『みんなで食べたい』と言うので、そういうところをすごく大事にしているのかなと思います」

そして、こういったオフコートでの関係性がオンコートにも生きていると原は言う。「些細なことかもしれないですけど、毎朝練習に来たらジョンさんは全体ミーティングの前にみんなに『おはよう』ってグータッチをしたりするので、そこは試合中のコミュニケーションにも繋がっているのかなと思います」

原は以前から「プレータイム=ヘッドコーチやチームからの信頼だと思っている」と語っており、パトリックヘッドコーチから確固たる信頼を勝ち取れるかは、今後のパフォーマンスにかかっている。その中で、89-88で勝利した大阪との第2戦で、原は3ポイントシュート5本中3本成功を含む11得点2アシストに加え、大阪のエース、ディージェイ・ニュービルに対して身体を張ったフィジカルなディフェンスで対抗し、プレータイムは日本人選手で最長となる27分42秒を記録した。あくまでもレギュラーシーズン60試合のうちの最初の2試合ではあるが、パトリックヘッドコーチからも一定の信頼を得ているように見受けられる。

新たなフェーズに入った千葉Jが再びBリーグ制覇を成し遂げるには、指揮官からの信頼を勝ち取った原のさらなる活躍が必要となる。