古川孝敏

文・写真=鈴木栄一

外国籍3番の対応にも自信「ポイントをしっかり抑える」

8勝2敗。琉球ゴールデンキングスは開幕からの1カ月を前評判に違わぬ成績で乗り切った。この好成績に貢献している一人が古川孝敏だ。昨シーズンの古川は、開幕直前に手術を行なった影響でシーズンデビューが11月と出遅れ、その後も本来の調子を取り戻すのに時間を要して、本領を発揮できたとは言い難い移籍1年目だった。

しかし、今シーズンは開幕からフル出場を果たし、攻守で持ち前のアグレッシブなプレーを見せると、ベンチに下がっている時も積極的に声を出すなどコート内外で存在感を示している。

10月26日、27日に行われた川崎ブレイブサンダースとの連戦を琉球は1勝1敗で終えたが、この2試合とも古川は2桁得点をマーク。68-60で勝利した26日は、川崎がニック・ファジーカス、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズの実質オン・ザ・コート「3」を多用する中、エドワーズに主にマッチアップして彼を6得点と封じる貴重な働きを見せた。

201cmの身長とリーチの長さ、高い身体能力を備えるエドワーズに対し、190cmの古川は体格差は関係なく対応できる手応えを持っていたと振り返る。「能力は間違いなくある選手ですし、堅く守ることを意識しました。細かいことは言えないですけど、スカウティングで得意、不得意なところは把握していたので、ポイントをしっかり抑える。ゴール下まで押し込まれれば高さの不利はありましたけど、パワーの面であまりやられる気はしなかったので、しっかりコンタクトできればドライブは抑えられる。守れる自信はありました」

古川孝敏

「点を取らなきゃいけない」への気持ちの変化

オフェンス面については、昨シーズンに比べるとより数字へのこだわりを持っている。「決めなきゃいけないという意識があります。点を取りに行きたい、点を取らなきゃいけないという気持ちです。その中で、我慢すべきところで我慢しきれないことがたまにある。チームとして良い流れで点を取れている時、僕が無理をする必要はないので、そういう時はしっかり我慢するのも大事です。その兼ね合いは難しいですが、数字はしっかり残していきたいと意識しています」

スタッツにこだわる姿勢はこれまでの古川にはなかったもの。そんな変化は意外なところにも出ている。選手紹介の入場シーンでは、合掌しておじぎをするパフォーマンスを始めた。「坊主だからと、なんか気づいたらそうなっていました。こう見えて僕よくイジられるので……(笑)」と笑顔を見せる。「これから髪が伸びたら、違うことをやっているかもしれない」と、とにかく何かしらブースターへの楽しみを提供してくれそうだ。

プレーに直結する変化としては、オーガニック中心の食事が挙げられる。今は調味料からこだわりのオーガニック製品を使って自炊しており、その影響は平日開催が増える過密スケジュールにも「バランスの良い食事取っているので大丈夫」と出ている模様だ。

並里成、橋本竜馬、ジェフ・エアーズ、ジョシュ・スコットなど新戦力の躍動が光る琉球だが、2年目を迎えチームにフィットした古川の攻守における存在感も大きい。今週末には田中大貴、馬場雄大と2番、3番ポジションに日本代表を揃えるアルバルク東京との対戦を迎える。開幕から好調を維持していた須田侑太郎の故障離脱もあり、古川がA東京のタレントをどれだけ抑え、オフェンスでもインパクトを残せるかが勝利への大きな鍵となってくる。