写真=Getty Images

チームレジェンドのコービーではなくジノビリを『崇拝』

伝統あるレイカーズのポイントガードを務める2年目のディアンジェロ・ラッセルの世代と言えば、レイカーズ一筋19年の現役生活を終えたばかりのコービー・ブライアントに憧れた子供たちが多かったはず。てっきりラッセルもレイカーズのレジェンドを崇拝していたかと思われたのだが、彼が憧れた対象は超が付くほどのスーパースターでもなければ、ロサンゼルスやニューヨークのように大都市を本拠地に持つチームで活躍した選手でもなかった。

その選手とは、スパーズのマヌ・ジノビリ。トリッキーな動きで相手を翻弄するジノビリは、今年で39歳の大ベテラン。ラッセルがルーキーイヤーの昨シーズンにスパーズと対戦したときの様子を、『ESPN』が伝えている。

ラッセルは、『アイドル』だったジノビリとコート上で対面した際、「あなたと同じコートに立てて光栄です」と話しかけたという。ジノビリが何と返したかは、興奮のあまり「覚えていない」とのこと。

『ESPN』の取材に応じた幼馴染によれば、ラッセルは幼い頃から決して足が速いわけではなかった。そのため、技術とバスケットボールIQの高さを駆使し、フィジカルで勝る相手とNBAで対等に渡り合うジノビリを参考にしていたのではないか、と見ている。

確かに、ラッセルとジノビリには共通点が多い。身長は互いに2メートルに満たず(ラッセルは196cm、ジノビリは198cm)で、左利き。2人ともNBAレベルにおいては決して身体能力に恵まれている選手ではないが、得点力とパス技術に秀でている。

NBA選手となってからもそのすごさを目の当たりにしているラッセルだが、キャリアを通じてシックスマンとしての役割をこなすことが多いジノビリが、ベンチからコートに出た瞬間に試合の流れを変える力を『技術』として称え、自分のものにしたいとも考えている。

「彼は常に準備を整えている。ベンチからの出場で、常に行けるように準備万端の状態にするのは難しいことなんだ。それも技術の一つだよ」

ジノビリのように身体能力に頼らず、駆け引きで勝負するタイプのディアンジェロ。