三遠ネオフェニックスは大野篤史ヘッドコーチを迎え、新体制で2022-23シーズンを迎える。新戦力で注目すべきは金丸晃輔だ。Bリーグ屈指のシューターは、新天地で自分の理想とするバスケを追求すべく、強い意気込みで開幕を迎える。その金丸に、「行けるところまで行くつもりでやります」という現在の心境を語ってもらった。
「愛知県だから……なんて言ったら怒られますかね?(笑)」
──まずは移籍の話から聞かせてください。島根スサノオマジックでのプレーは1年で、三遠ネオフェニックスに移籍することになりました。このタイミングで移籍を決めた理由は何でしたか?
簡単に言うとプレースタイルです。ずっとボールを待って打つだけなのは苦手で、あまりボールに触れられずオフェンスにも絡めないプレーをするのは、年齢的にもっと後でいいと思いました。基本コーナーから始まるし、僕のディフェンスがヘルプとかローテーションに行かないのでボールも回ってこない。言ってしまえば囮が僕の役割でした。
練習ではパスが回って来るんですけど、試合ではアツくなるので回ってこない。シュートアテンプトも1桁でしたし。やっぱり最低でも10本は打ちたいです。打てた試合もありましたけど、それは点差が20点とかに開いて勝負が決まった後、相手のディフェンスが緩くなって初めてどんどんパスが回ってきて決めてるだけ、みたいな。それでキャリアを考えた時、自分の色をまだ出し続けたい、という気持ちで移籍を決めました。
──そうした状況で三遠を選んだ理由は?
それは愛知県だから……なんて言ったら怒られますかね?(笑)
──怒られないと思いますが(笑)、それはアイシン、シーホース三河にいた時期が長かったからですか?
そうですね、住み慣れた場所ではあります。島根には単身で行っていて、家族は愛知に残っていたのが大きいですね。もう一つは身体のケアで、島根でもトレーナーさんは良くしてくれたんですけど、僕が長年通っている刈谷の治療院は僕の身体の癖を熟知しているので、シーズン中にもそこに通っていました。自分のパフォーマンスを最大限発揮するためには大事なことだと思うので。そして何より、自分がやりたいバスケを優先すべきだと思いました。
「自分に合わせてもらうのが当然、と考えるのはエゴ」
──三遠のチーム練習に参加してみて、手応えはいかがですか?
やっぱりゼロからなので簡単じゃないです。誰が何を考えているか分からないレベルからコミュニケーションを取らなきゃいけない状況で、でも僕はシューターだから自分の得意な動きをチームメートに分かってもらわなきゃいけない。「ここはピンダウンが来るのが当然だ」と僕が思っていても来ない、そうしたら自分がやりたいことを伝えて、相手がやりたいことと合わせていかなきゃいけないです。実際そういうシチュエーションはたくさんあるし、これから時間をかけて作っていくつもりです。
昔はパスが来なかったり、来てもタイミングが僕のイメージと違うとすぐフラストレーションを溜めることが多かったんですけど、「自分に合わせてもらうのが当然」と考えるのはエゴだなと気付いて。僕がちゃんとコミュニケーションを取らなかったのが第一の原因で、自分の間違いなんですよね。だから僕は「こうしてほしい」と言いますし、相手も僕にどうしてほしいのか要求してほしいです。その繰り返しでチームのケミストリーが高まっていくと思います。
──現時点で、自分のプレースタイルに合うという実感は得られましたか?
現時点では僕が打つフォーメーションが多いです。大野さん(大野篤史ヘッドコーチ)も僕に打たせるように「ここはパスしろ」と言ってくれているので、それはすごく助かっています。そこにプラスする形で、タイミングだったり他に見てほしい部分のコミュニケーションを僕も取るようにしています。
──それだけ整えてもらえば、自分がチームを勝利に導かなければいけないプレッシャーも出てきますね。
膝がまだ万全じゃない部分でのモヤモヤはありますけど、1試合を通してシュートを打ち続けられることにワクワクしているので、プレッシャーは感じないですね。ずっとコーナーステイしていなくていい、それだけでいいんです(笑)。
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