デニス・シュルーダー

フランツ・ワグナー「こういうチャンスは楽しまなきゃいけない」

ユーロバスケット準々決勝、ヤニス・アデトクンボを擁する優勝候補ギリシャ代表を、ホストチームのドイツ代表が107-96で破った。

ドイツは立ち上がりから思い切り良く放つ3ポイントシュートを次々と沈め、ロケットスタートに成功。それでもアデトクンボが強引なアタックから次々と得点を奪い、自分で行くだけでなくアシスト役にも回ることでギリシャに流れを呼び戻し、試合は派手な点の取り合いとなった。

アデトクンボがベンチに下がるとギリシャの得点が止まり、第1クォーターを終えてドイツが31-27とリードする。それでも3ポイントシュート8本成功と当たっているにもかかわらず点差を広げられず、3ポイントシュートが40分間当たり続けることはないことを考えると、第1クォーターだけで13得点4アシストと絶好調のアデトクンボを抑えないと先が危うい、という展開となった。

そのドイツは第2クォーターに2点シュートを増やしてバランスを取るも、結果として自分たちで爆発力を削ぐことに。アデトクンボはなかなか抑えられず、残り3分40秒でアデトクンボのアシストからコスタス・パパニコラウのシュートで同点とされ、続いてアデトクンボのフリースローでこの試合で最初のリードを許した。

ここでデニス・シュルーダーが強引なフェイダウェイをねじ込んだところから、逆転に次ぐ逆転のオフェンス合戦に。残り1分半、ギリシャは1点ビハインドの場面でアデトクンボがベンチに下がるも、第1クォーターとは違って他のメンバーが奮起し、コスタス・スロウカスがフリースローで、タイラー・ドーシーがレイアップを決めて逆転に成功。最後はスロウカスがブザービーターとなるハーフコートショットを沈め、61-57で前半を終えた。

ところが、この前半最後の攻勢がギリシャのバランスを崩してしまう。後半、攻撃に意識が偏ってトランジションディフェンスが緩み、リバウンドの意識も落ちた。ドイツはこれを突いて後半開始から7-0のランでリードを奪い返すと、第3クォーターを26-10と圧倒する。この要因はアデトクンボのアタックをチームディフェンスで封じたことだ。ドライブを仕掛けるアデトクンボの勢いをダニエル・タイスが身体を張って削ぎ、ほんの一瞬遅らせたことで後方から飛び込むヨハネス・ボイトマンのブロックショットが間に合い、速攻に転じたフランツ・ワグナーが3ポイントシュートを沈める。こうしたシーンを何度となく作り出し、ドイツが点差を広げた。

第3クォーター終盤にアデトクンボに意地の連続得点を浴びるも、ドイツは83-71とリードを保って最終クォーターへ。アデトクンボがバスケット・カウントをもぎ取っても、直後にワグナーが3ポイントシュートを決め返すなど、ビッグプレーを許しても即座に取り返すことでセーフティーリードを保って時間を使っていく。

残り5分、ドイツの3ポイントシュートが外れたリバウンド争いで、ティップしようと振ったアデトクンボの腕が、遅れたことで相手選手の顔面を叩いてしまい、アンスポーツマンライクファウルに。アデトクンボは前半にも自陣でボールを失った際に思わず相手を止めてしまっており、アンスポーツマンライクファウル2回で退場となった。これでギリシャの勝ち目は潰え、ドイツが悠々と逃げ切った。

ドイツはシュルーダーが26得点8アシスト、ワグナーとアンドレアス・オブストがともに3ポイントシュート5本成功の19得点と活躍。それ以上に光ったのがタイスで、アデトクンボと激しい戦いを繰り広げながら13得点、アデトクンボの7を大きく上回る16リバウンドを記録。アデトクンボが好調を維持していたにもかかわらず、大いに渡り合った。

ワグナーは「激しい試合だった。後半、僕らはチームで良いディフェンスをして、上手く逃げ切ったと思う。こういうチャンスは楽しまなきゃいけない。そして最大限に生かしたい」と語っている。

開催国ドイツは準決勝へ進出。準々決勝でフィンランドを破ったスペインと対戦する。