「互いに好感を持っていたと思うけど、そこに信頼関係があったとは思わない」
18年に渡ってセルティックスで敏腕の強化担当として活躍したダニー・エインジは、昨年12月にジャズのバスケットボール部門CEOに就任した。
エインジが就任する前年の2020-21シーズンのジャズはレギュラーシーズンを52勝20敗の西カンファレンス首位で終えたが、プレーオフのカンファレンスセミファイナルでクリッパーズに敗れた。そして、エインジが加わった昨年12月当時のジャズは連勝を続け、レギュラーシーズン19勝7敗と開幕ダッシュに成功していた。しかし、エインジは「私がシーズン中に見たジャズは、選手たちがお互いを信じていないグループだった。チーム全体としては互いに好感を持っていたと思うけど、そこに信頼関係、信念があったとは思わない」と振り返った。
ここ最近のジャズはレギュラーシーズンでは良い成績を収めても、プレーオフではカンファレンスセミファイナル進出止まり。昨シーズンも西カンファレンス5位でプレーオフに進出したが、マーベリックスに敗れてファーストラウンド敗退となった。
「プレーオフに入った時に、私は思った」とエインジは言う。「このチームはこれまでもプレーオフで上手くいかないことが多かったし、選手たちはプレーオフをただ待っていただけのように感じた。私はそこが気になっていた。実際、またしてもプレーオフで上手くいかなかった」
こう語ったエインジだが「ただ、選手たちは私と同じように、勝つと信じてすべてのゲームに挑んでいた。そこは誤解しないでほしい」と、擁護しつつも、チームとしてあるべき姿を説いた。「彼らが個々に決意を持っていることは分かった。ただ、チーム全体としてではなかったんだ。だから、選手たちは何でも自分でやろうとしているように見えた。それに『お互いを信じる』という気持ちが、私が今まで見てきたチームほどにはなかった」
そして、ジャズは今オフに8年間に渡って指揮を執っていたクイン・スナイダーがチームを去り、大黒柱のルディ・ゴベアとエースのドノバン・ミッチェルも放出。ジャスティン・ザニックGMは「チームをリセットする必要があった」と再建へ舵を切った理由を明かした。「これまでの成績が、我々が何者であるかを教えてくれたようなものだ。この1年だけじゃない。ここ3年間は多くの試合に勝って、成功を収めた良い期間だったけど、本質的には私たちは打ちのめされていたんだ。だから、それをリセットする必要があった」
オールスター選手のゴベアとミッチェルを放出した見返りとして、ジャズは多くのドラフト1巡目指名権や若手を獲得した。プレーオフで勝てるチームになるためには、エインジが言う『互いに信頼し合う関係性』を構築することがポイントになりそうだ。